▮はじめに
脳卒中患者数は平成29年の調査によると、約111万人もいるとされています(日本習慣病予防協会HPより)。
この中には入院中の方も含まれていますが、多くの方が街の中でも脳卒中患者を見かけたことがあると思います。
脳卒中患者の多くは歩きにくさを感じており、日々リハビリをしておりますが、転倒しやすい状態にあります。
今回は脳卒中患者が転倒しやすい要因についてまとますので、ご参考下さい。
【要約】 ・脳卒中患者の転倒しやすい要因は移動能力、バランス能力の低下、向精神薬、セルフケア障害が関連が強い。 ・一般の地域高齢者の転倒要因と共通項目が多いがセルフケア障害が特徴。 ・セルフケアとしてストレッチが大事で、自己管理として装具の誤用は注意。
▮地域在住脳卒中罹患者が転倒しやすい要因
Tianma Xuらの報告によると、
<転倒と強い関連がある要因>
・移動能力の低下
・バランス能力の低下
・向精神薬の使用
・セルフケアの障害
<転倒と中等度の関連がある要因>
・うつ病
・認知機能障害
・転倒歴
とのことです(参考文献①)。
脳卒中という疾患に限らず地域在宅高齢者の転倒要因について調べた研究(参考文献②)によると、以下の要因が転倒のリスク因子とされています。
1.転倒歴 2.バランス障害 3.筋力低下 4.視力障碍 5.薬剤(向精神薬) 6.歩行障害 7.うつ 8.めまい、立ち眩み 9.80歳以上 10.女性 11.低いBMI 12.失禁 13.認知障害 14.関節炎 15.糖尿病 16.疼痛
とされています。
このことから脳卒中患者と地域在住高齢者の転倒要因には共通項目が多いことがわかりますが、セルフケア障害が特徴的だと思われます。
▮セルフケア障害について
ここからは私見を含みますのでご了承下さい。セルフケアとは自主トレーニングと自己管理のことを指しますが、上記のことから脳卒中患者のとってセルフケアが重要だといえると思います。
脳卒中の特徴として、痙縮というものがあります。これは勝手に筋肉が収縮する現象ですが、放置しておくと筋肉が硬くなる傾向にあります。
筋肉が硬くなると関節が動きにくくなり、結果的に転倒しやすくなりますし、血行が悪くなるので足裏の感覚が鈍くなって転倒しやすくなったりすると予想できます。
よって、自分で身体をストレッチすることは重要になります。また、歩く際に装具を使用している人が多いですが、この誤用により転倒してします方も多く見受けられます。
セルフケアが高次脳機能障害により行えないという人もいます。
※高次脳機能障害の就労の記事はこちら➡☆☆
まとめるとセルフケアを行っていくのは大事なのですが、やはり一人で行うより専門家に定期的に見てもらう方が良いと思います。
最後でお読みいただきありがとうございます。
※自主トレに関する記事はこちら➡☆☆
【参考文献】
①Tianma Xu, MOT et al,Risk Factors for Falls in Community Stroke Survivors: A Systematic Review and Meta-Analysis,2017
② The patient who falls: “It’s always a trade-off”,2010