▮慢性閉塞性肺疾患とは
慢性閉塞性肺疾患とはchronic obstructive pulmonary diseaseの頭文字をとってCOPDと呼ばれます。
タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患であり、喫煙習慣を背景に中高年に発症する生活習慣病です(日本呼吸器学会HPより)。
【原因】
最大の原因は喫煙であり、喫煙者の15~20%がCOPDを発症すると言われています。
タバコは受動喫煙(副流煙)も害となり、肺がんのリスクは1.28倍、虚血性心疾患のリスクは1.3倍、脳卒中のリスクは1.24倍になると言われています(eヘルスネットより)。
【疫学】
順天堂大学医学部の福地氏らによる大規模な疫学調査研究NICEスタディ(2001年発表)の結果、日本人の40歳以上のCOPD有病率は8.6%、患者数は530万人と推定されました(COPD情報サイトより)。
COPDは2019年の日本人の男性の死因の8位ですが、世界では死因の3位となっています(日本WHO協会)。
▮COPDの症状は多彩である
①慢性的なせきやたん
②動いたときの呼吸困難(労作性呼吸困難)
上記の2つの症状が主ですが、その他にも以下のものを併発していることがあります。
・全身性炎症疾患
・骨粗しょう症
・サルコペニア
・心血管疾患
・消化器疾患
・不安やうつ
・代謝性疾患
・睡眠時無呼吸症候群
上記の併発症状にも書かれていますが、骨粗しょう症を持っている人が多いため、骨折しやすいと言われています(R Q Graumam et al. Osteoporos Int. 2018 Jun)。
▮慢性閉塞性肺疾患の治療
【目的】
①症状とQOLの改善
②運動耐容能と身体活動性の向上および維持
③憎悪の予防
④全身依存症と肺合併症の予防と治療
【具体的方法】
①薬物療法
②非薬物療法
ー運動:ウォーキングなどの有酸素運動は呼吸困難を軽減し運動耐容能を高めます。
-呼吸リハビリテーション(※)
-栄養指導
-重度の場合:酸素療法、外科療法など
※呼吸リハビリテーションは動きやすい身体づくりと症状の進行予防を目的として行います。
①口すぼめ呼吸
②体幹(主に胸郭)、頸部筋のストレッチ
③下肢の筋力トレーニング
④動きながらの呼吸練習
▮おわりに
私はCOPDの患者様と接することが多々ありますが、皆さん本当に苦しそうです。
そして、併発する症状や疾患がたくさんあるので、薬物療法で使用する服薬数が多量の人が多いです。
呼吸が苦しいだけでなく、様々疾患にもなりやすい病気なので予防しましょう!
タバコだけが原因ではありませんが、予防としてはタバコを吸わない、副流煙のある環境に行かないことが最も良い予防になると思われます。