今回の記事は高次脳機能障害者に対する就労支援についてです。
私も今まで何度か就労支援に携わった事がありますが、恥ずかしながら
今回は一般的な流れの紹介と、セラピスト視点からの持論を書かせ
少しでも読者の方の担当の方や知り合いの方の一助になれれば幸い
▮ 高次脳機能障害とは
高次脳機能とは、我々が生活を送る上で必要な記憶、見当識,注意,言語,記憶,思考,判断などを司る脳機能のこといいます。
高次脳機能障害とは、病気や事故がきっかけで脳が損傷し、高次脳機能が低下し、生活に支障をきたす症状のことをいいます。
▮高次脳機能障害に関するデータ 文献より
15歳~65歳(平均32.7±13.3歳)の高次脳機能障害者を対象として調査によると、高次脳機能障害になった原因
●外傷性脳損傷 76% ●脳血管障害 17% ●低酸素脳症 3%
上記以外でも脳炎、脳腫瘍なども原因としてあります。
脳炎は、インフルエンザなどにより起こる可能性もありますので見逃されやすいので要注意です。
また、上記を対象者とした調査では、高次脳機能障害の症状は以下の通りです。
注:重複している症状があるので足して100%にはなりません。
●記憶障害 90% ●注意障害 82% ●遂行機能障害 75% ●病識欠如 60% ●感情失禁 50% ●うつ症状 20% ●半側空間無視 8%
文献には載っていませんでしたが、上記の症状以外で多いのが、易疲労性、脱抑制、意欲の低下なども多いと言われています。
多くの方は発症6ヶ月以内に訓練を開始し、全体の46%の方に改
しかし、発症1年以上では14%の方に改善がみられたそうなので
また、私見ですが、年齢が若いだけでなく、目的がしっかりとしているという要因も改善には
▮高次脳機能障害に対する就労支援について
高次脳機能障害の症状の程度にもよりますが、仕事をやりたいと思ったら、以下のどこかを経由する方法が一般的です。
皆さんもハローワークはよくご存はじだと思います。
地域障害者職業センターは各都道府県に設置されております。
障害者就業・生活支援センターは各市町村に設置されていると思います。
※お住まいの自治体にお問い合わせください。
また、上図の下の2つの事業所の就労支援に関しては3パターンあります。
●就労継続支援B型 ●就労継続支援A型 ●就労移行支援
B型 ➔ A型 ➔ 就労移行支援 の段階となっており、初めから就労移行支援の方もいれば、B型から行う方もおります。
これはその方の症状などに応じて決めていくことになります。
子供がまだ小さい方はB型、A型では収入面が乏しい為、就労移行支援を希望される方が多いです。
ちみなにB型は雇用契約を結ばないため、社会保険に加入ができません。A型と就労移行支援は雇用形態によっては社会保険の加入が可能です。
就労移行支援は新規就労と復職に分かれます!
●新規就労:新たな職場
●復職:以前勤めていた職場
復職の方が構築された人間関係がありますし、仕事内容も把握していることから、復職を望む方が多いですが、復職の場合は職場側の理解がキーワードになると思います!
職場側の都合もある為、本人のやる気と機能回復だけではクリアできないものが現実的にはあ
就労支援を行っているある病院に聞いたところ、高次脳機能障害の方の就労先は、新規就労と復職の割合は同じくらいのようです。
▮自動車運転について
これは最終的には都道府県の免許センターの検査で決定されますが
もし、事故後に病気の事がわかると高額の賠償金になると
ちなみに統合失調症、てんかん、再発性の失神、低血糖、躁鬱、睡眠障害の方はもれなく危険運転致死傷罪に問われますので運転はお控え下さい!
※このサイトに詳しく書いてあります。
https://kuruma-anzen.com/g043/
実は、高次脳機能障害に関しては具体的には言及されていませんが、事故になった際保険金が下りない
※各保険会社にお問い合わせください。
下の文献によると、高次脳機能障害の方の自動車運転で問題になるのはやはり反応時間の遅延です!
https://www.jstage.jst.go.jp/a
報告では事故のリスクが健常者に比べると高い結果になっている為、現状では医療機関は積極的に運転を勧めていません。
しかし、今後は技術の発展(自動運転など)で認
高次脳機能障害者も自動車運転を希望される方は多いですが、家族が反対することが多いです。やはり家族は事故のリスクを考えるとやめてほしいと思うのでしょう。
事故は家族もかかわるので、家族の了解を得ることは必要だと思います。
▮高次脳機能障害者の就労に関する障壁
これは私見になりますが、高次脳機能障害の方で就労を目指す方は、見た目では障害が分かりにくいため、同居者や職場の同僚とトラブルになりやすいと思います。
専門家が同居者や職場へ説明するのが円滑にいく方法だと考えます。
また、本人の障害の受け入れが困難な場合がありますが、このケースが一番難しいと思われます。この場合は、専門家から周囲への説明がより必要になります。
症状の項でも述べましたが、高次脳機能障害の方は疲れやすいため、適宜休憩を入れながら行う方が良いです。
また、作業中に注意がそれることが多いので、仕事場では注意が分散するような環境にしない方がよいですし、記憶が低下している方は、メモをとる習慣をお勧めします。
●専門家からの症状の説明を行う ●本人の障害の受け入れ困難な場合はより説明が必要 ●仕事は休憩を入れながら行う ●注意が分散しないような環境にする ●記憶低下している方はメモを取りながら行う習慣にする
高次脳機能障害の就労は、身体障害より難しい印象です。これは、本人の問題、周囲の問題、社会の問題があり、いずれかの理解や思考の変容が必要だと思われます!
以上、私見を含みますが、高次脳機能障害の就労に関する記事でした。
少しでもお役に立てれば幸いです。
※執筆者のサロンはこちら➔https://www.reha-me.com
【参考文献・参考サイト】
●高次脳機能障害支援モデル事業
https://www.jstage.jst.go.jp/article/hbfr/26/3/26_3_263/_pdf/-char/ja
●国立障害者リハビリテーションセンターHP
http://www.rehab.go.jp/brain_fukyu/how06/
●高次脳機能障害支援モデル事業
https://www.jstage.jst.go.jp/article/hbfr/26/3/26_3_263/_pdf/-char/ja
●脳損傷者の自動車運転再開に必要な高次機能評価値の検討
https://www.jstage.jst.go.jp/a
●高次脳機能障害と運転
http://www.iatss.or.jp/common/
●高次脳機能障害と自動車運転
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ninchishinkeikagaku1999/9/3/9_3_269/_pdf
●高次脳機能障害のリハビリがわかる本 橋本圭司著
高次脳機能障害のリハビリがわかる本 (健康ライブラリーイラスト版) [ 橋本圭司 ] 価格:1,296円 |