▮はじめに
筋力が低下して動きが悪くなる、また疲れやすくことで、活動量が低下し心身に悪影響が出て要介護者になってしまうケースが多々あります。
今回は筋力低下の一因である『筋萎縮』について解説していきます。また、サルコペニアという病態についても解説していきます。
【要約】
・筋萎縮は神経性、骨格筋の加齢によるものと慢性炎症を原因としたものがある。
・サルコペニアは加齢による筋肉の萎縮のことで、廃用性筋萎縮とは異なる。
・筋萎縮予防としては、栄養補助、持久運動、筋力増強運動が良いです。
▮筋萎縮とは
筋萎縮は筋肉が小さくなっていくことですが、大きく分けると2つの種類があります(酒井義人ら,Jounal of Spine Reseach,2021)。
①神経系、骨格筋の加齢による筋萎縮
加齢に伴い身体活動が低下し筋肉が萎縮してくるパターンがこちらです。
②慢性炎症を原因とした筋萎縮
加齢により脂肪組織が増加し、炎症性サイトカインIL-6が増加し、脂肪の酸化ストレスによる炎症が起こり骨格筋が萎縮していくとうパターンです。
次に筋委縮に関する論文を2つ紹介します。
▮不活動や糖尿病による筋萎縮(PMID:35228746)
不活動や糖尿病の状態では、血管からDll4 が 放出され、筋線維のNotch2受容体を活性化させることで筋委縮が誘導される。
▮肥満や2型糖尿病による筋萎縮(PMID:29859272)
肥満や2型糖尿病の患者では、「高インスリン血症」が起こりやすい。血中インスリン値の上昇とともに、骨格筋の減少作用をもつ分子である「マイオスタチン」の量が増えることが骨格筋減少につながっている。
上記の2つの論文から分かるように、筋が萎縮するのは活動性低下だけでなく肥満や糖尿病などの内部疾患も影響します。
▮サルコペニアとは
聞いたことがある人もいると思いますが、次にサルコペニアについて解説します。
サルコペニアとは、加齢に伴い筋が萎縮し筋力が低下した状態をいいます。別名、加齢性筋肉減弱症ともいいます。
ちなみに、ギリシャ語で「サルコ=筋肉」、「ぺニア=減少」とうことから、1989年ごろにアメリカで提唱された造語です。
サルコペニアは廃用性筋萎縮と似ていますが少し異なります(下表参照)。
(後藤亜由美,町田修一,理学療法学,2018)
上記の表のように一般的には加齢に伴い速筋線維(アルターマッスルに多い)が萎縮しやすいといわれています。
よって、高齢者には速筋線維を鍛えるような中~高負荷のトレーニングが推奨されています。
▮筋萎縮を予防しよう
以下の図のように、筋萎縮を筋源、筋質、筋量の3つの要素に分けて対策をするとよいです。
栄養補助、持久運動、筋力増強運動が筋萎縮予防に必要になります。
つまり、運動と食事が重要になります。さらに上記で書いたように肥満、糖尿病予防も必要になります。
以上、筋萎縮の記事となります。
最後までお読みいただきありがとうございます。