リハビリテーション関係

筋力とは

はじめに

「筋力をつけましょう」などと筋力ということばが日常で使われていますが、実際筋力とは何を意味しているか、というのは案外あいまになっていると思います。

この記事では筋力についてと筋力を向上させるためには何をすればよいのか、ということを文献的知見と私見を交えて解説していきます。

筋力とは

筋力の定義が明確にあるわけではありませんが、一般的には筋力とは筋の収縮によって引き起こされる力のことを指します。筋の収縮といっても運動要素3種類収縮要素3種類あります。

«運動様式»
・等尺性:関節角度か筋の長さが一定
・等張性:筋の張力が一定
・等速性:筋の収縮速度が一定

«収縮要素»
・等尺性:関節角度か筋の長さが一定
・求心性(短縮性):筋の短縮しながら収縮する
・遠心性(伸張性):筋の伸長しながら収縮する

筋力の要素

次に、筋力に影響する因子を以下に紹介します(市橋則明,1997)。

①筋の断面積
筋の大きさと筋力が相関関係にあります。
②神経因子
③筋線維組成
素早い動きやパワーに使う速筋線維(FG線維、FOG線維)、持久性に優れた遅筋線維(SO線維)があります。
④解剖学的要因
羽状筋、紡錘筋などの形状によって筋力が異なります。
⑤関節の角度
筋肉は短縮しすぎても伸長しすぎても筋力は低下します。
⑥心理面
最大の力で行っていても無意識的に予備力を残しています(20~30%)。

上記の6つの因子は学術的な見解ですが、以下に私見を述べていきますので興味のない人はここから先は読まなくてもよいです。

では、筋力に影響する因子として上記のもの以外で重要なものを私見として挙げていきます。

①身体全体に影響するもの
・酸素

・栄養
・水分
②脳の機能に影響するもの

意識(覚醒)
③筋力発揮に影響するもの
・筋肉の柔軟性
・体幹の固定性(四肢の筋力発揮の際)
・組織の滑走性
・身体の連動性

個別に説明すると時間を要しますので割愛しますが、これらを考慮してトレーニング指導していくことをお勧めします。

筋トレで起こること

筋力強化訓練(以下、筋トレ) を開始してから2週間までは神経による影響で強化されるとされていて、8〜12週で筋肥大の影響になるそうです(諸角一記,理学療法科学,2021)。

また、全身の筋力をつけたい場合、筋肉の容量が大きい筋肉から鍛えるとよいです。

下肢であれば大腿四頭筋、大殿筋、内転筋、ハムストリングス、上肢であれば三角筋、上腕三頭筋、大胸筋、広背筋が容量が大きいですLube J,2016/Holzbaur KR,2007)。

筋トレのやり方は様々あり、何が正解か分かりませんがいくつか紹介しておきます

筋トレの負荷は回数より疲れるまでやるのが効果的(Vaz-Valle,2008)。

低負荷でもゆっくり行えば筋肥大が期待できる(Watanabe,Ishii,2014)。

筋トレは一度にまとめて行うより、毎日少しずつ続けるほうが有益である(Riku Yoshida et al,Scand J Med Sports,2022)。

おわりに

以上、筋力の記事でした。健康のため、パフォーマンスアップのために筋トレを習慣的に行うことはとても良いのでお勧めします。

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