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性ホルモンと痛みの関係について

はじめに

近年は性別を気にしない風潮が強いですが、生物的に男女に性差は存在します。
慢性的な痛みの種類の神経障害性疼痛(神経が原因による痛み)に関しては統計的に男性より女性の方が多いと言われています。

近年、性ホルモンが痛みに影響しているという報告がありますので、この記事ではそれに関する論文的な内容をまとめていきたいと思います。

【要約】
・女性ホルモンは減少すると痛みを感じやすいが、エストロゲンは多すぎても痛みを感じやすいと言われている。
・男性ホルモンも減少すると痛みを感じやすい。

性ホルモンと痛みの関係

●女性ホルモン:プロゲステロン、エストロゲン
プロゲステロンは慢性疼痛の発症に関連する細胞や分子レベルの変化を遮断すると言われています(Sol Ferreyra,et al,J Neuroendocrinol,2022)。
エストロゲンに関しては多すぎても痛みを感じやすくなるし、少なくても痛みを感じやすくなるとのことです(田代晃正,基礎老化研究,2018)。

つまりプロゲステロンは少なくなると痛みを感じやすくなり、エストロゲンは多すぎても少なすぎても痛みを感じやすくなるといえます。

●男性ホルモン:テストステロン
テストステロンは痛みの抑制に関与すると言われています(Hau M,Horm Behav.,2004)。
つまり、テストステロンが少なくなると痛みを感じやすくなるといえます。

女性ホルモンと痛みについて

上記に記載したように女性ホルモンは少なくなると痛みを感じやすくなり、エストロゲンは多すぎても痛みを感じやすいということです。

月経周期でいうと、排卵前は女性ホルモンが少ないので痛みを感じやすく排卵後は痛みを感じにくいといえます。

一般的に加齢に伴いホルモンは減少しますが、女性ホルモン(プロゲステロン、エストロゲン)は50歳頃の閉経時に一気に減少します。よって更年期は痛みを感じやすい時期ともいえます。
治療としてはホルモン補充などがありますので気になる方は婦人科や更年期外来を受診すると良いでしょう。

男性ホルモンと痛みについて

更年期障害は男性にも起こりますが、これは男性ホルモンのテストステロンの減少により起こります。
40代以降に起こることが多く、なんとなくだるい、頻尿、やる気がでない、性欲減少などの症状が起こり、痛みを感じやすくなることから関節痛や筋肉痛も感じやすくなります。

治療としてはテストステロン補充が保険適応となっており、他に漢方や症状に対する薬が処方されることがあるようなので、気になる方は泌尿器科を受診してみましょう。

おわりに

慢性疼痛は様々な因子が関わっていますが、その因子の一つがホルモンというのも頭に入れておくと良いと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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