リハビリテーション関係

片脚立位(片足立ち)に必要な要素は?

はじめに

片脚立位(片足立ち)はリハビリテーションやセラピーを行う上で、身体機能を評価することが多い動作です。ちなみに片脚立位ができない、もしくは不安定な人は身体のどこかに原因があります。

片足立ちが困難な人はなぜ片足立ちができないのかについて、今回は解説していきます。

【要約】
・片脚立位はバランス能力を測る指標の一つで筋骨格系、感覚系、姿勢制御系の栄養を受ける。
・筋力(中殿筋、大腿四頭筋など)、関節可動域(股関節伸展など)の片脚立位に影響する因子である。
・片脚立位で転倒リスク、実用的歩行速度などを推測することができる。
片脚立位に必要な機能について

片脚立位はバランス能力を図る指標の一つでもあるので、バランス能力に必要な因子は、①筋骨格系②感覚系(視覚、体性感覚、平衡感覚)、③姿勢制御系(脳の問題)があります。
今回は筋骨格系に焦点を当てて解説していきます。

①片脚に必要な筋力
中殿筋

大腿四頭筋(笠原ら,体力科学,2001)

支持側の内腹斜筋と多裂筋/挙上側の外腹斜筋と脊柱起立筋群(鈴木哲ら,理学療法科学,2009)

足趾屈筋群(山口ら,運動生理,1989)

小趾外転筋(中道ら,関西理学療法,2015)

②片脚立位に必要な関節可動域
股関節伸展(桑原ら,理学療法の臨床と研究,2021)

足関節背屈(角川ら,第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
横足根関節(ショパール関節)回内(西守ら,関西理学療法,2001)

・脊柱が後弯している人ほど片脚立位能力が低いとの報告(坂光ら,理学療法科学,2007)もあることから、脊柱の適切なS字カーブも片脚立位保持に影響すると思われます。

③それ以外の要素
筋力や関節可動域以外にも麻痺症状神経症状(ヘルニア、脊柱管狭窄症など)、痛みなども片脚立位保持能力に関係します。

また、片脚立位で股関節内旋位にすると中殿筋前部の活動が強くなり、股関節外旋位にすると大腿直筋の活動が高まる(佐久間ら,理学療法京都,2009)という報告や、足部の角度の違いにより骨盤や胸郭運動パターンの違いが現れた(斎藤崇,理学療法科学,2013)という報告があることから、各々の身体条件によって活動する筋肉や姿勢制御に変化がみられると思われます。

片脚立位を用いた評価の紹介

①転倒リスク
・閉眼での片脚立位で5秒以下では転倒リスクが高まる。
・開眼での片脚立位20秒以下で転倒リスクが高まる。

②実用歩行速度
・10秒以上で実用歩行速度の獲得できる割合が多い(津田ら,令和元年度 高知リハビリテーション専門職大学紀要 第1巻)。

③運動器不安定症
・開眼での返却立位で15秒未満だと運動器不安定症の可能性あり
高齢者で歩行・移動能力の低下のために転倒しやすい、あるいは閉じこもりとなり、日常生活での障害を伴う疾患を運動器不安定症という(日本整形外科学会より)。

おわりに

以上で片脚立位に必要な要素と評価基準の紹介に関する解説を終えます。
片脚立位ができればよいという訳ではありませんが、片脚立位ができない場合は何らかの原因があるのでそれを追究していくことが重要となります。
片脚立位ができない原因は人それぞれなので、お悩みの方は個別でご相談下さい。よろしくお願いいたします。

✉:lifefreak2020@gmail.com

※引用画像はVisible Body®より

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