リハビリテーション関係

簡便な身体機能検査~Short Physical Performance Battery(SPPB)~

はじめに

リハビリテーションの現場では身体評価が必要になりますが、評価に大幅な時間を取られてしまい実際のアプローチの時間が短くなってしまうことがよくあります。
そこで簡便で身体機能を評価できるものとしてShort Physical Performance Battery(以下、SPPB)というものがあります。今回はこのSPPBについて解説します。

SPPBとは

SPPBは元々高齢者の下肢機能を評価する目的で開発され1994 年に発表されました(Guralnik JM,et al,J Gerontol,1994)。

項目は以下の3つ。

①バランステスト
閉脚立位→セミタンデム立位→タンデム立位の順で各 10 秒間保持し、実施困難とな
ったところで歩行テストに移行する。
実施困難 0 点、閉脚まで可能 1 点、セミタンデムまで可能 2 点、タンデムまで可能 4 点

歩行テスト
4m 歩行時間(通常歩行速度)を 2 回測定し、良い方の結果を使用する。

実施困難 0 点、8.71 秒以上 1 点、6.21-8.70 秒 2 点、4.82-6.21 秒 3 点、4.82 秒未満 4 点

③椅子立ち上がりテスト
腕を組んだままで“できる限り早く”椅子からの起立、着座を 5 回繰り返す。

実施困難 0 点、16.70 秒以上 1 点、13.70-16.69 秒 2 点、11.20-13.69 秒 3 点、1.20 秒未満 4 点

合計12点満点となります。

SPPBの活用方法

●サルコペニア

アジアにおけるサルコペニアワーキンググループ(AWGS:Asian Working Group for Sarcopenia)によると、診断評価の一つとしてSPPB9点未満がサルコペニアという認識があります(Chen LK, et al. J Am Med Dir Assoc,2020)。
注:SPPBのみで判断されるわけではない。


(日本サルコペニア・フレイル学会より)

●転倒リスク

転倒リスクを把握するための有名はFBS(Functional Balance Scale)、TUG(Timed Up and Go)などの評価項目とSPPBを入院中の65歳以上の患者を対象として比較した研究報告によると、これらの評価(FBS,TUG)と有意差を認め、SPPBの転倒カットオフ値は7点であるとのことです(倉田和範ら,理学療法学,2016)。つまり7点以下は転倒リスクが高いということです。

おわりに

SPPBは転倒リスクを把握するため、身体機能の経過を把握するため、などで臨床現場で活用しやすいと思われます。参考になれば幸いです。

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