医療情報関係

がんの骨転移に対するリハビリテーション

▓ はじめに

2022年の人口動態統計によると、男女ともに悪性新生物(がん)が死因の1位となっています。また、死亡率も年々増加傾向にあります。

我々もがん患者のリハビリテーションに携わる機会が以前より増えていますが、特に問題になるのが骨転移患者への対応です。

今回の記事では骨転移に関するリハビリテーションについて書きます。

【要約】
・原発の部位によって骨転移のしやすさが異なる。
・骨転移は体の中心部分に起こりやすい。
・リハビリテーションはリスクを考慮しつつ行わないと廃用症候群になってしまう。

▓ がんの骨転移について

がんによる骨転移は以下のようにがんの種類によって発症する確率が異なります(骨転移診療ガイドラインより)。

  • 乳:75.2% 
  • 前立腺:75%
  • 肺︰54.3%
  • 甲状腺︰50%
  • 腎臓︰31.3%
  • 頭頸部:30.7%
  • 子宮︰27.8%
  • 食道︰24.6%

※上位のみを記載

症状としては痛みがメインです。部位としては、脊椎、骨盤、肋骨、上腕骨、大腿骨と体に中心部の骨に転移しやすいと言われています。

骨転移診療ガイドラインによると、骨転移が進行すると神経症状(失禁、肛門括約筋の麻痺など)や高カルシウム血症になってしまうこともあるようです。

▓ 骨転移のリハビリテーション

次に骨転移に対するリハビリテーションですが、ガイドラインによるとADL(日常生活動作)や生活の質の向上に対しては有効、また廃用症候群の予防としても有効とのことです。

骨折を回避するためには動かずベッドで寝ている方が良いと思われがちですが、これでは床ずれ、尿路結石、腸閉塞、深部静脈血栓症、肺炎など廃用症候群のリスクが高まり、かえって死亡リスクを高めてしまいますので、リスクを考慮しつつリハビリテーションをしたほうが良いということになります。

もし、痛みがある場合はコルセットの使用や、椎体骨折を呈した場合などは体幹を固定する装具により痛みの軽減を図ります。

▓ おわりに

以上、骨転移に対するリハビリテーションの記事でした。がん患者に限りませんが、リハビリテーションはリスクを考慮しつつ進めていくものなので、自分で判断せずに専門家のもとで行うことをお勧めします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です