医療情報関係

高齢者のBMIは27が最も死亡リスクが低い

はじめに

肥満は健康に害である、というのは世間では当たり前のこととして広まっていますが、これは生活習慣病予備軍の成人に対しては当てはまりますが、高齢者にも当てはまるのでしょうか?
この記事では肥満をBMI(Body Mass Index)という数値を用いて、高齢者のBMIと健康との関連について書いていきます。

【要約】
・BMIが25~30の人が最も死亡率が低かった。
・BMI24以上の人はADL低下リスクが低かった。
・高齢者は低栄養・痩せの方が問題になるケースが多い
BMIとは

はじめにも述べましたがBMIとはBody Mass Indexの略で、[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出される値のことで、肥満や低体重(やせ)の判定に用います。

日本肥満学会の定めた基準では以下のように分類されます。

・18.5未満:低体重(やせ)
・18.5以上25未満:普通体重
・25以上:肥満(肥満はその度合いによってさらに「肥満1」から「肥満4」に分類される)

ちなみにKeisanというサイトでBMIが簡単に計算できます(リンク)。

一般的にはBMIが25を超えると脂質異常症や糖尿病、高血圧などの生活習慣病のリスクが2倍以上になると言われています。

高齢者のBMIと健康の関係

次に高齢者のBMIと健康の関係についての論文を2つ紹介します。

①アメリカ人高齢者

障害のない65歳以上の非ヒスパニック系白人アメリカ人8359人、アフリカ系アメリカ人1931人、メキシコ系アメリカ人2435人を対象にBMIと死亡率との関連を調査した結果、死亡率が一番低かったのはBMIが25から30未満であった。
また、BMI25未満または35以上の被験者では死亡率の危険性が高くなることが示された(Soham Al Snih,et al,Arch Intern Med,2007)。

②中国人高齢者

80歳以上の高齢者(16,022人の参加者(45.2%が男性、54.8%が女性)、平均年齢は92.2±7.2歳)を対象にBMIとADL(日常生活動作)との関連についての調査によると、低体重群(BMI <18.5)は正常体重群(BMI 18.5~<24.0) と比較して、ADLにおける障害リスクが有意に増加していた。また、体重超過または肥満群(BMI ≥24.0 )はADL障害のリスク低下が有意でした(Yue-Bin Lv,et al,JAMA Netw Open,2018)。

上記2つの論文は対象者が日本人ではありませんが、様々な人種で同じような結果がみられていることから、おそらく日本人も同じような傾向があると推測できます。

①の論文では死亡率が低いBMIは27と述べられていることから、高齢者に関しては痩せよりはぽっちゃりの方が良いとも言えます。

つまり、高齢者にとっての問題は軽度の肥満より低栄養・痩せの方だと考えられます。
これは私の経験的にも同じような印象があります。

おわりに

今回は高齢者のBMIは25~30くらいが良いという記事でしたが、膝痛の緩和のためにダイエットが必要ば場合や何らかの疾患のリスク管理のためにダイエットが必要な人もいるので万人に当てはまらないことは最後に述べておきたいと思います。

今回の記事のように検査による異常値が出たから正常の戻すために治療するという考えは間違いではありませんが、全ての人に当てはめるのではなく、各々によって対応を変えていくことが必要になりますね。

最後に追記ですが、肥満と肥満症は異なりますので、それだけ書いておきます。
・肥満:に脂肪が蓄積し体重が増加した状態のことで病気ではない
・肥満症:肥満によって健康状態に悪影響が出ていたり、内臓脂肪が過剰に蓄積したりしている状態を指し、治療が必要な状態のこと

 

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