医療情報関係

自律神経の影響が全身に現れるのは自律神経が血管に作用しているためかもしれない

はじめに

私は長年リハビリテーションやセラピーの業界にいてあらゆる不調と向きあってきましたが、その不調の原因の多くは自律神経の乱れから起こっていると考えています。
そして、あらゆる不調は血流が悪い状態になると起こりやすいと言われています。
この記事では自律神経に関する簡単な解説と、血流と自律神経との関連を書いていきたいと思います。

【要約】
・自律神経は交感神経と副交感神経からなる意思とは関係なく24時間働き続ける神経である。
・多くは交感神経と副交感神経の二重支配であるが、交感神経のみの支配の器官もある。
・全身の血管が自律神経の影響を受けている。
・呼吸は横隔神経支配の横隔膜で主にコントロールされているが、内臓求心性線維(迷走神経)が関与している。

自律神経とは

自律神経とは自らの意思とは関係なく24時間働き続けている神経で、主に内臓や血圧調整、体温調整に関与しています。
自律神経は以下の2つから構成されています。

交感神経:Fight or flight(闘争か逃走)で活性化する神経
副交感神経:rest and digest(休息や消化)で活性化する神経

興奮している時や不安・恐怖心が強いときは交感神経が活性化し、睡眠時やごはん中は副交感神経が活性化します。
両者の関係が10対0になることはなく、常に両者が働いていますが、状況によりどちらかが優位になることがあります。

以下の表に交感神経と副交感神経の二重支配によるものを示します。

我々の身体は上記の表以外に、交感神経と副交感神経の二重支配を受けていない交感神経支配のみの器官もあります。

副腎髄質:カテコールアミンの分泌
汗腺:発汗
血管:収縮
立毛筋:収縮
骨格筋:グリコーゲンの分解

血管は基本的には交感神経が優位になると収縮しますが、血管の場所によって働きが変わります。
次に自律神経が血管にどのように作用しているか述べます。

自律神経は全身の血管に作用している

交感神経、副交感神経ともに全身の血管に関係していますが、下図のように場所によって二重支配のものと交感神経のみのものがあります。

内臓、骨格筋、皮膚の血管は交感神経のもの支配ですが、脳血管、顔面、心血管、外生殖器血管は副交感神経も分布しています。
副交感神経が活性化すると血管が拡張して血流が増えます。

自律神経の働き具合で全身に影響が出るのは、全身の血流が自律神経によって調整されているためかもしれませんね。

呼吸と自律神経

よく呼吸で自律神経を整えるという文言を目にすることがあると思いますが、呼吸は横隔神経という運動神経支配で横隔膜という筋肉で主に行われるため、このように言われています。

内臓求心性線維(迷走神経)という自律神経により肺の状況や酸素不足などの情報が延髄に伝えられています。
迷走神経は副交感神経なので、ゆっくり息を吐くような呼吸をすることで副交感神経が優位になり心拍数・心拍出量も減少するため、ストレスや疲労がたまっている時は上記の呼吸をすることで心が落ち着きます。

このように呼吸で自律神経をコントロールすることができるため、ストレスや疲労が溜まってきたらゆっくり息を吐くような呼吸をしてみると良いですね。

【参考図書】
・鈴木郁子,『自律神経の科学』,2023(https://amzn.to/3Vfd1al)

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