リハビリテーション関係

伏在神経の絞扼神経障害による膝痛

はじめに

膝痛は成人、老人共に好発する痛みであり、痛みが増強し生活に支障が出ると手術治療を行うケースも多くみられます。
膝痛の原因は多くありますが、今回は膝関節内側部の痛みの原因の一つである伏在神経の絞扼による神経障害を紹介します。

【要約】
・伏在神経は大腿神経が枝分かれした神経でハンター菅を通り縫工筋を通り膝内側までいく。
・伏在神経絞扼障害は膝前内側部の知覚障害、膝内側上部の圧痛、安静時痛などが生じます。
・対応としてはブロック注射、手術、運動療法がありますが、まずは愛護的なマッサージで様子をみましょう。
伏在神経とは

伏在神経は腰部から出た大腿神経が枝分かれした神経で、大腿の内側を走行し膝の内側に通じる感覚神経です。
下の図でいうと黄色が大腿神経で赤い線が縫工筋、水色がハンター菅です。

ハンター菅とは、内転筋腱膜が内側広筋に下りてきて内側にへばりつきできた管です。
この菅を大腿神経(伏在神経)、動脈、静脈が通っています。

また、膝の内側は下の写真のように縫工筋、薄筋、半腱様筋が走行しており、伏在神経は縫工筋の下側や内部を貫通しています。


①縫工筋、②薄筋、③半腱様筋

伏在神経の通り道は人によって異なるそうですが、約半数の人は縫工筋を貫通しているとの報告もあります(剛 ら,整形外科と災害外科,1997)。

このように伏在神経は腰椎2~4番から出て、鼠径部を通り大腿内側を走行し膝の内側にいっている神経です。

伏在神経の絞扼神経障害

上記で述べたようにハンター菅や縫工筋などで伏在神経が絞扼されて知覚障害や痛みが出現することがあります。

特徴としては、
・膝前内側部の知覚異常
・膝関節の約10㎝上内側部に圧痛
・安静時痛、夜間痛あり
などがあります。

対応としては、
・神経ブロック参考文献
・手術(筋膜切開)参考文献
・運動療法:内転筋、縫工筋、半腱様筋のリラクゼーション
が挙げられます。

運動療法時に無理やりストレッチをすると痛みを助長する場合があるので要注意です。
痛いときはキネシオテーピングを大腿内側に貼付したり、上記の筋肉を愛護的にマッサージをするのが良いです。

痛みの程度にもよりますが、まずは内転筋、縫工筋、半腱様筋を愛護的にマッサージをして、マッサージ後にキネシオテーピングを貼付することをお勧めします。これで痛みが消失する人もいますのでお試しください。
それでも痛みが軽減しない場合は受診をお勧めします。

おわりに

以上、伏在神経による絞扼障害による膝痛に関する記事でした。
膝痛でもこの場合は少し症状が異なり、対応が若干異なるので鑑別が必要になりますね。
参考になれば幸いです。

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