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骨粗鬆症(骨そしょう症)の予防と対応について

はじめに

一般的に年齢を重ねるにつれて骨密度が低下し骨折しやすくなりますが、骨折をすると一気に生活レベルが低下し生活の質も低下してしまいます。

この記事では骨の重要性と骨粗鬆症予防について述べていきます。

【要約】
・骨の役割は5つある。
・骨粗しょう症の原因は加齢によるものと疾患・薬剤によるものがある。
・骨粗鬆症の予防と対応については、運動と栄養摂取、疾患の治療がポイントです。

骨の役割

まずは骨の話。
骨の役割は以下の5つだと言われています。

・からだを支える
・運動の支点
・内臓を守る
・血液を作る
・カルシウムを蓄える
 (雪印ホームページ より)

地球上の陸では身体は骨がないと姿勢保持が出来ず動くこともできません。
また、内臓を守ると書いてありますが、内臓以外に脊髄や脳を守る役割もありますね。

意外と盲点なのが、血液を作る働きとカルシウム(電解質)を貯蔵す役割かと思います。
骨の中の骨髄で血液成分(赤血球、白血球、血小板)をつくっており、主に脊椎胸骨、腸骨に存在すると言われています。
海の生物は電解質を水中でいつでも吸収できますが、陸上生物は食物から摂るしかないので、骨に貯蔵しておく事で生命維持に役立てているそうです。

このように骨は身体にとってとても重要なものなのです。

骨粗鬆症について

骨粗鬆症の有病率は、ガイドラインによると、腰椎か大腿骨頸部のいずれかで骨粗鬆症と診断された人は1280万人(男性300万人,女性980万人)のようです。つまり、日本人の10人に1人は骨粗鬆症ということになります。
当たり前ですが年齢を重ねるにつれて骨粗鬆症の割合は増加します

<骨粗鬆症のメカニズム>
次にメカニズムの話ですが、難しいので簡単に説明します。
骨は古い骨が破壊されてから新しい骨が形成されますが、骨の破壊に対して骨の形成の割合が小さくなると骨密度が低下します。
つまり何らかの原因で骨破壊>骨形成となってしまった状態が骨粗鬆症です。

<骨粗鬆症の原因>
つぎに原因についてですが、大きく分けると加齢によるもの(原発性)加齢以外の薬剤や疾患によるもの(続発性)があります(参考文献:東浩太郎.日本老年医学会雑誌 56巻 2 号.2019)。

①加齢によるもの
・性腺機能低下(閉経)
・生活習慣(運動不足、ビタミン不足、カルシウム不足)
・酸化ストレス
・遺伝的要因
・臓器機能低下(腎臓機能低下、腸管機能低下、筋量低下など)


②薬剤や疾患によるもの
・内分泌性:甲状腺機能更新症、クッシング症候群など
・栄養性:ビタミンC欠乏症、神経性食欲不振症など
・薬剤:ステロイド薬、抗けいれん薬、ワーファリンなど
・不動:廃用症候群など
・先天性:骨形成不全症、マルファン症候群
・その他:糖尿病,関節リウマチ,アルール依存症,慢性腎病,慢性閉塞性肺疾患糖尿病など

補足ですが、薬剤では長期のステロイド服薬者の30〜50%に骨折が起こるという報告もあります(ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療ガイドライン2014より)。

また、インスリンが血糖値を下げる役割と骨を形成する役割があるため1型糖尿病は骨折リスクが高いです。そして、2型糖尿病は糖化により骨質が劣化して骨粗鬆症になることもありそうです(参考記事)。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)を発症している患者では、その24〜39%が骨粗鬆症診断されており (Watanabe R. JBMM 2014)、椎体骨折有病率は24~63%と報告されています(Lehouck A. Chest 2011)。

骨粗鬆症の予防と対応について

次に骨粗鬆症の予防と対応についてです。基本的には要因に対してアプローチすればよいのですが、ここでは3つだけ紹介します。

①ビタミンD
カルシウムの吸収をビタミンDが助けることから、カルシウムとビタミン Dの摂取が予防や治療に良いとされています。
ビタミンDは皮膚で合成されるため日光浴が良いです。よって、紫外線カットの日焼け止めは塗りすぎ要注意です。

食事は、きくらげ、あんきも、しらす、サケ、身欠きニシンにビタミンDが含まれているとされているので、意識的に摂取しましょう。

また、ビタミDは肝臓・腎臓で活性化されるため、肝臓,腎臓に疾患がある人はその治療が必要になります。

 

②カルシウム摂取
これは食事での摂取がメインとなりますが、主に牛乳、チーズ、干しエビ、わかさぎ、ごま、小松菜に豊富だと言われています。

 

③骨に刺激を入れる運動
骨に長軸方向に刺激を入れると骨密度が高まると言われています。また、背骨と下肢の骨の骨密度が低下しやすいため以下のようなものが良いと考えます。

ウォーキング、ジョギング
これは下肢の骨や背骨に長軸方向に刺激が入るので良いです。
下肢筋トレ:スクワット、ヒールレイズなど
下肢の筋トレは長軸方向に姿勢が少ないですが、筋肉の収縮により骨に刺激が入るとされています。

・ジャンプ

ジャンプは膝が痛い人や、歩行が不安定な方は危険なので控えましょう。

また、疾患(腎機能障害、糖尿病など)がある方はそれに対する治療も重要になりますのでお忘れなく。

おわりに

以上で骨粗鬆症に関する話は終わります。骨は大事な要素なので日々予防のために運動と栄養摂取に気をつけると良いと思います。
少しでも参考になれば幸いです。

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