リハビリテーション関係

橈骨遠位端骨折についてとそのリハビリテーションについて

はじめに

高齢者転倒した際に起こる骨折で多いものベスト4は、
・大腿骨頸部骨折
・椎体骨折(脊椎圧迫圧迫骨折)
・上腕骨近位部骨折
・橈骨遠位端骨折
と言われています。

この中で今回は橈骨遠位端骨折(コレス骨折)に関する解説と、そのリハビリテーションについての記事となります。

【要約】
・橈骨遠位端骨折は高齢者の女性で多い骨折で、関節外、関節内部分、関節内完全骨折がある。
・骨折後の多くは保存療法を選択されるが、まれに合併症を起こす場合もある。
・リハビリテーションはギプス固定中から開始し、できる限り早く開始したほうが回復する。

▮橈骨遠位端骨折とは

橈骨は肘から手首にかけて存在する骨で、橈骨遠位端骨折はその手首に近い部分の骨折となります。


この骨折は、高齢の女性に多くみられ、受傷起点としては転倒が多くを占めています。

骨折のパターンは様々ありますが、一般的には以下のように関節外骨折、関節内部分骨折、関節内完全骨折の3つに分かれます。

橈骨遠位端骨折の治療

治療の70~90%は保存療法と言われており、高齢者に対しては手術より保存療法を選択することが多いようです。

保存療法を選択した場合も、ズレが著明な場合は徒手整復を行った方がよいともいわれています(なお、この際は麻酔の使用を勧められています)。

保存療法の場合はギプス固定をすることが多いですが、固定位は前腕回内位、回外位はどちらでもよいそうです。

また、橈骨遠位端骨折に際に以下の合併症を起こる人がいます。

・手根管症候群・正中神経障害:0 ~ 22%
・変形性手関節症・変形性遠位橈尺関節症:7 ~ 65%
・長母指伸筋腱皮下断裂:0.8 ~ 4.9%
・屈筋腱皮下断裂:0.4 ~ 12%
・遷延治癒・偽関節:0.7 ~ 4%
・許容できない変形治癒:5.3%
・コンパートメント(区画)症候群:0.4 ~ 0.7%
・骨萎縮・骨密度の減少:0.2% 4)
・複合性局所疼痛症候群(CRPS)・反射性交感神経性ジストロフィー:0.3~35%

上記の合併症がある場合はそれに関する治療も必要になります。

この記事では手術療法や合併症の治療は割愛し、保存療法を紹介したいと思います。

橈骨遠位端骨折のリハビリテーション

ギプス固定している時に、肩・肘・手指の可動域訓練健側の筋力強化・可動域訓練を行うことは拘縮予防や早期回復が期待できるため推奨されています。
ギプス抜去後には固定部の前腕、手関節、手部の関節可動域訓練や筋力強化を行った群と行わない群と比較すると、当たり前ですが行った群の方が改善すると言われています。

橈骨遠位端骨折後 6 ヵ月までに機能回復は大きく進みさらに骨折後 1 年以上にわたり緩徐に回復が続くと言われています。
よって、骨折後6カ月は集中的にリハビリテーションを行うことが望ましいです。

予後とリスク因子

一般的には予後は良好であることが多いです。

リスク因子としては以下のものが挙げられます。

・高齢
・女性
・低栄養
・骨粗鬆症
・血清ビタミンDの低値
片脚起立時間が 15 秒未満
・※グルココルチコイドの使用歴

上記の中では、骨粗鬆症、血清ビタミンDの低値、グルココルチコイドの使用歴の人がリスクが比較的高いです。

※グルココルチコイドはいわゆるステロイドのため、副作用として骨密度低下などがあります。

おわりに

以上、橈骨遠位端骨折のリハビリテーションの記事でした。
予後が比較的良好ですが、リハビリテーションをおろそかにすると、手を使う日常生活動作に支障が出る場合がありますので、骨折後はしっかりリハビリテーションをすることをお勧めします。
また、それと並行して骨折してしまった原因に対するアプローチも必要になります(転倒予防など)。

【参考文献】
・橈骨遠位端骨折診療ガイドライン2017(リンク

 

 

 

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