リハビリテーション関係

ジャンプ動作のしくみとリハビリテーション

はじめに

下肢の怪我や体力低下に伴いジャンプ動作が困難になりますが、ジャンプ動作はできなくても良いとあきらめている患者様を多くみます。
この記事ではジャンプ動作のしくみやジャンプ動作の向上のためにはどのようにリハビリテーションを進めていくのかという内容を文献の内容に私見を加えて書きたいと思いますので、よろしければご参考下さい。

【要約】
・垂直ジャンプ動作での伸展筋の貢献度は股関節(大殿筋など)40%、足(下腿三頭筋)35%、膝(大腿四頭筋)24%。
・垂直ジャンプに使用される主な筋肉は下肢の伸展筋だが、股関節屈筋力がジャンプ力に相関するともいわれている。

ジャンプ動作で使用される筋肉

今回取り上げるジャンプ動作は垂直ジャンプとします。

ジャンプ動作というと上記のような動作姿勢となるため、いかに床を強く押して加速を上方に生成できるかで距離が決まる動作といえます。
垂直ジャンプは上記のような動作パターンとなるため膝伸展筋(大腿四頭筋)が着目されがちですが、Robertson(1987)によると垂直ジャンプ動作での下肢の伸展筋の貢献度は股関節(大殿筋など)40%、足(下腿三頭筋)35%、膝(大腿四頭筋)24%とのことで、股関節の伸展筋の影響が大きいようです。
さらに相澤ら(2010)の報告によると、股関節屈筋と垂直ジャンプ動作に相関がみられたとのことなので、股関節屈筋(腸腰筋)が強い人ほど、ジャンプ力があるというこです。
また、甲斐ら(2013)の報告によると、膝伸展筋と足関節底屈筋を比べた場合、男性では膝伸展筋より足底屈筋が垂直ジャンプに貢献する度合いが強く、女性では膝伸展筋の方が足底屈筋より垂直ジャンプに貢献する度合いが強いとのことです。

ジャンプ動作に対するリハビリテーション

何らかの原因でジャンプ動作が困難になった場合、スポーツ選手ではジャンプ動作の再獲得が重要となりますが、中高年者もジャンプが行えるようになりたい、という希望がある場合はその再獲得のためのリハビリテーションを実施します。
上記で取り上げた筋肉の中でも優先的に股関節伸展筋、股関節屈筋を鍛えることが重要ですが、膝関節伸展筋、足関節底屈筋の強化も必要です。股関節伸展筋と屈筋を鍛えるトレーニングはたくさんありますが、お勧めは以下のようなゴムを使った運動です。
これは、硬いゴムを足に引っ掛けて行う股関節屈筋と伸展筋、足関節底屈筋を同時に鍛える方法です。
また、以下のような手を挙げながらのランジ姿勢で股関節屈筋のストレッチ、膝伸展筋と股関節伸展筋の遠心性収縮トレーニングを同時するのもお勧めです。
ジャンプの着地には伸展筋の遠心性収縮(筋肉の全長は伸びながら収縮する)が必要になるため、上記のような姿勢で前側の下肢のように伸びながら止めるというトレーニングも有効です。
おわりに
ジャンプ動作に必要なトレーニングは他にも様々ありますので、自分に合った方法を選ばれると良いと思いますので、上記のものはあくまで参考程度にしてください。
上記に男女でジャンプ動作に貢献する筋肉が変わるという報告がありましたが、これから推測されるのは人によって貢献する筋肉が変わるということです。
よって、弱い部分を鍛えておくことで効率的なジャンプ動作が生成できると思われますので、トレーニングする前に身体の状態をチェックしておくことが重要になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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