医療情報関係

グロインペイン症候群(鼠径部痛症候群)とは

はじめに

足の付け根部分を鼠径部(そけいぶ)(下図の赤丸辺り)といいます。
この部分の痛みは
サッカー選手に多くみられる症状ですが、サッカー選手以外にも出現しうるグロインペイン症候群という症状についてまとめてみましたので、よろしければご参考ください。

【要約】
・鼠径部痛の痛みで器質的な問題がないものをグロインペイン症候群と呼ぶ。
・サッカー選手に多い症状である。
・股関節内転筋の筋力低下を伴うことが多いが、全身との協調運動障害が傷害前からあることが多い。

▮グロインペイン症候群(鼠径部痛症候群)とは

原因はなんであれ鼠径部周辺に痛みがあるものは鼠径部周辺部痛といい、鼠径部周辺部痛の中で器質的疾患がなく機能的な痛み鼠径部痛症候群(以下、グロインペイン症候群)と呼んでいます(仁賀,2014)。

症状は主に運動時に鼠径部大腿内側部下腹部に放散する疼痛です。サッカーで多い症状と言われていますが、陸上、ラグビー、ホッケー、ウェイトリフティングなどの20歳前後の男性に多いようです。

グロインペイン症候群のリハビリテーション

グロインペイン症候群患者に対しては、運動療法(「関節可動域訓練、ストレッチ、筋力強化、協調性運動)は推奨されると言われています(理学療法ガイドラインより)。

グロインペインは過去に鼠径部の怪我の経験激しいスポーツをしている股関節の内転筋(下図参照)の筋力が外転筋と比較してかなり弱い人が起こりやすいと言われています(参考文献①)。

よって、予防としては股関節内転筋を鍛えておくことが重要と考えられます。

Weirらの報告(参考文献②)にもありますが、ストレッチのような運動療法より筋力強化や協調性運動のような能動的な運動療法の方が有効と言われていることから、運動としては股関節内転筋単体を鍛えるのでなく、股関節・鼠径部に負担がかからないような全身の動きの改善が必要になっていると思われます。

股関節・骨盤の可動性安定性に加え、股関節・骨盤と全身(特に肩甲帯)との協調性が鼠経部痛の改善と予防に重要と考えられます。

おわりに

最後までお読みいただきありがとうございました。

グロインペインに限らず、傷害が起こる前の段階で何らかの身体機能不全などの問題があることが多いです。
これをGray CookはDysfunction &Nonpainful(痛みのない機能不全)と呼びましたが、この段階からアプローチしておくのが予防につながるので良いですね。

▮参考文献
①Jackie L Whittaker et al,Br J Sports Med,2015

②Weir A et al,2011

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