▮はじめに
頭痛で悩む人は国内で約3000万人にもなると言われており、睡眠で悩む人も約2000万人と言われています。
今回は睡眠の問題の中でも睡眠時無呼吸症候群と噛み癖を取り上げて、それと頭痛との関連についての文献的な知見と私見を交えての記事となります。
【要約】
・睡眠時無呼吸症候群は閉塞性と中枢性に分けられる。
・閉塞性の睡眠時無呼吸症候群は朝方の頭痛や片頭痛との関連があると言われている。
・ブラキシズム(食いしばり)も頭痛の原因となりうるが、ブラキシズムは治療法が確立していない。
▮睡眠時無呼吸症候群と頭痛
睡眠時無呼吸症候群とは、無呼吸中にも呼吸努力を伴い通常いびきが存在する閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea:OSA)と、呼吸努力を伴わない中枢性睡眠時無呼吸(central sleep apnea:CSA)があります(参考文献①)。
▮閉塞性睡眠時無呼吸とは
・睡眠中の 10 秒以上の気流停止をいう。
・肥満、加齢、男性が重要な発症要因と考えられている(参考文献①)。
閉塞性睡眠時無呼吸における頭痛の頻度は、15~50%という報告があります(参考文献②)。
閉塞性睡眠時無呼吸の症状で朝方の頭痛がありますので、寝起きの頭痛はこれが原因の可能性があるということです。
また、閉塞性睡眠時無呼吸は片頭痛にも関連していると言われています(参考文献③)。
▮咬み癖と頭痛との関連
歯ぎしりや食いしばりのことをブラキシズムといい、睡眠時の食いしばりのことを睡眠時ブラキシズムといいます(参考文献④)。
▮睡眠時ブラキシズムのリスク因子
・飲酒、喫煙、カフェインなどの嗜好品
・カルシウム拮抗薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬などの中枢神経作動薬
・ストレス、不安傾向との関連などの心理学的要因との関連
・睡眠関連疾患
(参考文献⑤)
ブラキシズムは顎関節症や頭痛と関連があると言われています(参考文献⑥)。
よって、睡眠時のブラキシズムも頭痛に関連している可能性がありますが、私の知る限りブラキシズムを根本的に治す治療法は現在は確立されていません。
上記のリスク因子を考慮して可能な限り対処していくか、歯科医より対処法としてマウスピースを処方されることもあります。
▮おわりに
以上、頭痛と睡眠との関連の記事でした。
今回は睡眠時無呼吸症候群とブラキシズムを取り挙げましたが、枕の高さや日々の筋肉のコリが影響していることが多いので、まずはそちらの対応をすると良いと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
【参考文献】
①睡眠時無呼吸症候群診療ガイドライン2020
②宮本雅之,睡眠障害と頭痛,日頭痛会誌,2010
③宮本雅之ら,臨床神経学,2014
④Kazuyoshi baba,Dental Medicine Research, 2008
⑤Kazuyoshi Baba, Ann Jpn Prosthodont,2016
⑥Rika Ichiki,pn.Soc.Stomatognath.Funct,2000