▮はじめに
住環境は家庭によって異なりますが、それと身体との関係について調べてみましたので、よろしければ最後までご覧ください。
【要約】
・朝の血圧は室温の影響を受けやすい。
・低気温は筋力低下しやすい。
・気温が高いと睡眠障害になりやすい。
・転倒は居室が多い。
・転倒は身体機能面の影響が大きいため、身体機能が低下しにくい環境にすることも必要になるかも
▮室温と身体の関係
心血管系の疾患(心筋梗塞、脳出血など)は寒い時期に多いと言われており、高血圧との関連があるとされています。
そこで3775人を対象に調べて研究によると、朝の血圧は室温の影響を受けやすいということがわかりました。
また、女性と高齢者で影響を受けやすいとされています(参考文献①)。
つまり、寒い空間は血圧が上がりやすいため、心血管系の疾患を予防するためには朝の室温管理は徹底したほうが良いということになります。
また、低気温環境は筋力が低下しやすいという報告もあります(参考文献②)。
よって、寒い環境は身体にとってあまり良い環境とは言えませんね。
▮室温と睡眠の関係
睡眠は毎日6~8時間費やすものなので、人生の1/4~1/3を占める大事な行為です。
よって良質な睡眠は健康に欠かせないものといえます。
睡眠は室温が高いと障害されやすく、季節でいえば春や夏より秋や冬は睡眠時間が少ない傾向があるという報告があります(参考文献③)。
つまり、寝室の気温を高すぎず低すぎず設定することが重要となります。
設定気温は20度前後が良いという報告がありますが、布団の厚さによって変わると思うので適温に設定しましょう。
▮住環境と転倒の関係
転倒は要介護原因でも上位を占める出来事ですが、京都府亀岡市の地域在住高齢者約18000名を対象としてた調査によると、男女ともに以下ような要因が上位に挙げられました。
・男性:運動機能、低栄養、口腔機能、物忘れ、うつ傾向、IADL能力
・女性:運動機能、口腔機能、物忘れ、うつ傾向、IADL能力
に有意な関連がみられ,運動機能低下は男女とも最も強い要因であった(参考文献④)。
上記のように身体状態と転倒の関連の報告はたくさんあります。
しかし、住環境と転倒の関連の報告は少ないのが現状ですが、国民生活センターのサイトによると、65歳以上の転倒は居室が最も多く、次いで階段、食堂・台所とのことです(参考サイト)。
このことから過ごす時間が多い場所での転倒が多いことと、段差や方向転換が必要な場所での転倒が多いのかもしれない。
また、自室が2階だと転倒率が低いという報告があります(参考文献⑤)。
このことから階段が危険とはいえ、階段昇降を行う環境の方が身体機能が低下しにくい面もあるといえますので、転倒リスクを下げるためにバリアフリーにすることと、身体機能低下を予防するためにバリアありにするのかを天秤にかけて考える必要がありますね。
【参考文献】
① o,et al,Hypertension,2019
②
③Kazuyo Tsuzuki,Jpn J.Biometeor,2014 n,Age Ageing,2014
④桝本妙子ら,第62巻 日本公衛誌 第 8 号,2015
⑤江藤真紀ら,日本看護研究学会雑誌,2002