リハビリテーション関係

慢性腰痛と多裂筋の関係

はじめに

腰痛でお悩みの方は大変多いですが、慢性的な腰痛の人は多裂筋の活動が低い可能性があります。
今回の記事は腰痛と多裂筋との関連について書いていきます。
多裂筋に関する詳しい解剖などは他のサイトや解剖学書をご参考下さい。

【要約】
・慢性腰痛患者は多裂筋の働きが低下している。
・多裂筋は腰椎の前弯形成に寄与しており、腰椎の安定性に寄与している。
・同じ姿勢で座りすぎずに脊柱起立筋とストレッチし多裂筋をトレーニングしましょう。

慢性腰痛と多裂筋との関係

慢性腰痛患者は歩く時に腰部脊柱起立筋の筋活動が高いと言われています(Leila Ghamkhar et al,PM R.,2015)。
そして、慢性腰痛患者では多裂筋は委縮しているが、脊柱起立筋や腰方形筋は委縮していないと言われています(Dorien Goubert et al, Pain Physician Sep Oct,2016/Tom A Ranger et al,Spine J,2017)。

つまり、慢性腰痛患者は動く時にアウターマッスルが優位になりやすいということですね。

次に多裂筋の役割について述べていきます。

多裂筋の役割

多裂筋は深層と浅層に分かれます各々の起始停止は以下の通りです。

①深層
【起始】
全ての乳様突起と椎間関節包
【停止】
各起始部から2-4上位の棘突起

②浅層
【起始】
第4仙骨孔までの仙骨後面、PSIS、仙腸靭帯
【停止】
各起始部から2-4上位の棘突起


※画像はイメージ図なので適切な筋走行を表しませんのであしからず。

 

腰椎は生理的に前弯をしておりますが、腰痛になりやすい人はこの腰椎の生理的彎曲が乏しいと言われています(Sean G Sadler et al,2017 )。

そして、この腰椎前弯を多裂筋対側の大腰筋で形成していると言われています。

そして、横隔膜、腹横筋、骨盤底筋とインナーユニットを形成しており、腹部・腰部の安定性に寄与しています(参考記事:こちら)。

以上のことから多裂筋は腰椎の安定性に寄与している筋といえますので、多裂筋の活動低下は腰椎の不安定につながると思われます。

慢性腰痛対策

対策は大きく分けると生活での注意点とトレーニングになります。

①生活での注意点
運動するという当たり前の話もありますが、座りすぎないということが重要です。
筋収縮を伴わない長時間の座位は背筋の硬度を高めるという報告があります(Alexander R Kett et al,Front Sports Act Living,2021)。
このことからなるべく長時間座る作業を行うときは適宜立ち上がったり歩くこととお勧めします。

②多裂筋トレーニング
トレーニング方法はたくさんあると思いますが、最も有名なものを紹介します。
下の写真のような四つ這い姿勢で手足を挙げる運動が多裂筋の働きを促すと言われています。

注意点は頑張って上げすぎると脊柱起立筋(アルターマッスル)の方が強く働くため、適度に挙げるくらいが良いと思われます。

③脊柱起立筋ストレッチ
背中を丸めるようにすると背中の筋肉が伸ばされます。仰向けでも横向きでも座ってでもやりやすい姿勢で良いです。

まとめ

以上で慢性腰痛と多裂筋の記事は終わります。
対策の部分は他にも腹式呼吸などたくさんありますが、基礎的なものをご紹介しておりますので、気になる方は色々調べてみてください。
少しでも慢性腰痛の方の一助になれれば幸いです。
※ご不明な点はお問合せよりご連絡下さい➡こちら

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