リハビリテーション関係

手の痛みや痺れは【胸郭出口症候群】かもしれない。

はじめに

私の肌感覚ですが、手の痛みや痺れの訴えが年々増えている印象があります。
この症状の原因は色々ありますが、それは胸郭出口症候群というものかもしれません。今回は胸郭出口症候群がどのようなものかを簡単に解説します。

【要約】
・胸郭出口症候群は主に腕や手の痛みと痺れの症状があり、斜角筋、鎖骨下、小胸筋下で神経や血管が圧迫されて痛みや痺れの症状が起こるものである。
・診断は症状やテストによって判定されるが、頸椎や末梢神経の疾患でないことの確認も大事である。
・治療は物理療法、薬物療法、生活指導、手術療法などがある。

胸郭出口症候群とは、、、

胸郭出口症候群とは英語でthoracic outlet syndromeと書くため頭文字をとりTOSともいわれます。

症状

・頸肩腕部痛
・肩こり
・上肢(特に4〜5指側)の痺れ

原因

①前斜角〜中斜角筋間
②鎖骨の下部
③小胸筋の下側

の下での神経や血管の絞扼(圧迫)により上記の症状が出現すると考えられています(寺尾ら,Spinal Surgery,2016)。

部位によって,①斜角筋症候群、②肋鎖症候群、③小胸筋症候群(過外転症候群)と呼びます。

診断

・肩から上肢にかけて上記の症状が長時間あるいは反復的に出現している。
・視診上、なで肩、円背、側弯などがみとめられる。
頸椎疾患、末梢神経疾患がない。
・検査(アドソンテスト、モーレーテスト、ライトテスト)で一つ以上陽性。
・3分間Roosテスト陽性。


※アドソンテスト:橈骨動脈の拍動が減弱~消失で陽性。
 モーレーテスト:腕に痛みが放散したら陽性。
 ライトテスト:橈骨動脈の拍動が減弱~消失で陽性。


※3分間実施し、遂行困難であれば陽性。もしくは腕が冷たくなっても陽性。

が挙げられます(甲斐ら,整形外科と災害外科,2005)。意外と頸椎疾患、末梢神経疾患であることがあるので、そこの除外診断されていることも重要です。

絞扼された部位によって、血管型神経型に分類され、両方ともに絞扼されている混合型もありますが、神経型が圧倒的に多いようです。
※神経型(約95%)、動脈型(約1%)、静脈型(約3%)というデータもありますので、ご参考までに。

胸郭出口症候群の治療

①物理療法:温熱、マッサージ、ストレッチなど
②薬物療法:ブロック注射、鎮痛薬など
③生活指導:姿勢指導、カバンの持ち方、寝方の指導など
④手術療法:第1肋骨切除、頸肋切除、前斜角筋切除など

治療の多くは①~③になります。

ここからは私の経験ですが、
・小胸筋をほぐす
・なで肩を改善する
と症状が緩和することが多いです。

小胸筋巻き肩姿勢(Sway back)になると硬くなりやすいのと、手の使い過ぎで硬くなりやすいです。
なで肩側弯症の人や片側の扁平足の人に多いため姿勢改善が有効です。また、重たい鞄を片側で持っている人になりやすいので生活指導も有効です。

腕や手の痛みは事務職や調理士などのように手をよく使用する人に多いですが、スマホ時代のため誰でもなりうる症状です。
腕や手の痺れや痛みがある場合は、胸郭出口症候群を疑ってみても良いかもしれません。

 

 

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