▮はじめに
世の中に膝痛で悩んでいる人は意外と多いです。高齢者はもちろんですが、中年者やスポーツ選手で悩まれている方も少なくありません。
膝痛の原因は様々ですが、今回は鵞足炎にしぼって鵞足炎の説明とそのリハビリについて解説したいと思います。
【要約】 ・膝の内側の構成体である鵞足部の炎症による痛みが出ることがある。 ・鵞足炎は薄筋との関連が強いという報告がある。 ・鵞足炎に対するリハビリはストレッチ、筋トレ(股関節内転筋、内側広筋)、体幹安定エクササイズ、インソールなどが挙げられる。
▮鵞足とは
まず鵞足とは膝の内側の部位のことで、
①縫工筋
②薄筋
③半腱様筋
④伏在神経
上の写真は膝の内側を横からみたものですが、鵞足炎とはまさにこの部位に炎症が起こり痛みが出現するものです。
▮鵞足炎とは
一般的には膝の屈伸が過度に繰り返されて起こるため、スポーツ選手などの多いです。
鵞足炎患者の縫工筋、薄筋、半腱様筋の圧痛を調べた報告によると、92%が圧痛が認められその中でも薄筋の圧痛が68%と最も多く、半腱様筋の圧痛は0%だったという報告があります(赤羽根ら,PTジャーナル,2012)
このことから、鵞足炎は薄筋との関連が強い可能性がありますね。
▮鵞足炎に対するリハビリ
鵞足炎に対するリハビリテーションの報告は少ないですが、鵞足を構成する筋肉に対するストレッチが効果があったという報告があります(林ら,第23回東海北陸理学療法学術大会抄録,2007)。
また、インソールにより鵞足部のストレスを軽減するのも良いと考えられます。
また、O脚タイプの変形性膝関節症の合併症として鵞足炎があるそうです(斎藤ら,第27回東海北陸理学療法学術大会,2011)。
これらのことから
・縫工筋
・薄筋
・半腱様筋
のストレスを減らすことが鵞足炎予防と改善につながると思われます。
また、福井によると鵞足炎患者に対しては股関節では内転筋強化、膝関節では内側広筋強化を徹底的に行う必要があり、股関節運動に関しては弱い低負荷より開始し、下肢の動きが腰椎とリンクしないで動くような体幹安定性エクササイズが必要であると述べています(福井勉,理学療法科学,2003)。
<リハビリのまとめ>
✔縫工筋、薄筋、半腱様筋のストレッチ(特に薄筋)
✔インソール
✔股関節内転筋、内側広筋の筋トレ
✔体幹安定性エクササイズ
▮おわりに
最後まで記事をお読みいただきありがとうございます。鵞足炎患者やそれに関わる人に少しでも参考になれば幸いです。
最後に、膝痛に関しては自己判断せずに整形外科医の判断をあおぐのが最も適切です。