医療情報関係

ACL(前十字靭帯)損傷のリスク因子について

はじめに

オリンピックを機にスポーツを始めている人も多いと思いますが、スポーツに怪我はつきものです。
その怪我の中でもACL(前十字靭帯)損傷をしているスポーツ選手が多いですね。
損傷してしまうと選手生命に影響が出るだけでなく、日常生活にも支障をきたす場合もあります。

今回はACL損傷のリスク因子につていまとめたので、よろしければご覧ください。

【要約】
・ACL損傷はジャンプスポーツで多い。症状は痛みと腫脹が主。
・ACL損傷は性差でいえば女性に多く、遺伝の影響もある。
・リスク因子として解剖学的要因や筋力、関節可動域なども関与している。

ACL(前十字靭帯)損傷とは

ACL(前十字靭帯)は大腿骨顆間窩の後側外方から脛骨顆間隆起に付着している靭帯です。

ACL損傷とは、膝関節(大腿骨と脛骨の関節)内部の前十字靭帯が損傷する疾患で、ジャンプ系のスポーツ(サッカー、バスケ、バレーボールなど)で多くみられます。

ACL損傷の症状は、急性期は痛みと腫脹がみられますが、痛みと腫脹が引いた後も膝関節の不安定性が残ります。

ACL損傷のリスク因子とは

ここからはACL損傷の診療ガイドライン2019を参考にリスク因子をいくつか紹介したいと思います。

①性差
男女でいうと女性の方がACL損傷のリスクが大きいと言われています。

②解剖学的要因
2-1 股関節において単純X 線像でのcenter-edge angleCE角)が小さい(下図参照)

CE角は正常では30度前後ですが、20度以下で寛骨臼形成不全と診断されます。

2-2 脛骨後方傾斜が大きく顆間窩幅が小さい


写真①:脛骨後方傾斜は点線のように後方に倒れている状態
4度以上傾斜しているとACL損傷リスクが増すとのことです。


写真②:顆間窩幅は膝裏の大腿骨内側顆と外側顆の裏の間の距離
顆間窩幅が狭い程、ACL損傷リスクが増すとのことです。

③関節可動域制限
男性の非接触型のACL損傷に関しては、股関節の内旋制限がリスク因子として挙げられています。

④筋力
サイドカット時の筋電図活動電位が半腱様筋腱で低く外側広筋で高いとACL損傷しやすいとされています。

⑤遺伝
両親のいずれかにACL 損傷の既往がある場合1.95倍ACL損傷のリスクがあるとされています。

おわりに

今回紹介した内容なエビデンスレベルが低いものもあるので、気になった方は元文献をたどってみてください。スポーツをしている方、スポーツ選手に関わっている方はリスク因子を頭にいれつつACL損傷の予防に努めましょう!

【参考文献】
・ACL損傷診療ガイドライン2019
https://minds.jcqhc.or.jp/docs/gl_pdf/G0001115/4/Anterior_cruciate_ligament_injury.pdf

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