▮はじめに
日本でのうつ病になる人の割合は2~3%くらいと言われています。
しかし、うつ病と診断されていない人がもっとたくさんいると思われます。
うつ病は心の病と言われていますが、臨床では病気の影響でうつ病を併発しているケースをよくも目の当たりにしますので、今回はそんなケースをいくつか紹介したいと思います。
▮病気とうつの関係
いくつか病気をピックアップしてうつとの関係を書いていきたいと思います。
①脳卒中
脳卒中発症 4 か月後、23%がうつを示し、その中で男56%/女30%は12か月後も依然うつであった、という報告があります(参考文献①)。
そして当たり前かもしれませんが、うつを呈している患者はうつを呈していない患者に比べると日常生活動作(ADL)能力が低いと言われています(参考文献②)。
②パーキンソン病
パーキンソン病でうつを発症する割合の報告は様々ありますが、40%前後くらいと言われています(参考文献③)。
通常のうつに比較してパーキンソン病では、自己非難、罪業感、食欲低下、自殺念慮が少なく不安が強いことが特徴のようです(参考文献④)。
③糖尿病
糖尿病の約30%にうつ症状があると言われています(参考サイト⑤)。
糖尿病とうつのはっきりした原因は不明ですが、食事制限➡ストレス➡うつ、という関係性や、うつ病➡運動不足➡糖尿病、という行動上の関係性がありそうです。
④不眠症
眠れなくなることでうつ病になることもあれば、うつ病の初期症状で眠れなくなることもあります。
どちらにせよ不眠症になる原因となる疾患は以下のようなものが挙げられます(参考サイト⑥)。
・心疾患
・呼吸器疾患(睡眠時無呼吸症候群など)
・周期性四肢運動障害
・前立腺肥大(頻尿)
・痛み
・かゆみ
などが原因で不眠症になっている場合は、その原因となる疾患や症状に対してアプローチすることが必要になります。
痛みは慢性化するとうつ病になりやすいと言われているため、痛みがある場合も慢性化させないことが大事になります。
▮おわりに
多くの人は病気になると気分が落ち込みます。そしてそれが長引く程気分は落ち込みは強くなりますよね。
うつ病の原因となっているものに対して対応していくことが必要になりますが薬物療法がありますので、受診をして服薬しながら原因となっているものに対応していくのが良いと思われます。
【参考文献】
① ,et al,1995(PMID:7788123)
② ,et al,1987(PMID:3590249)
③ ,et al,2008(PMID:17987654)
④
⑥e-ヘルスネット 不眠症