▮はじめに
大腿骨頸部子/転子部骨折は高齢者に多い骨折の一つとして有名です。
転倒がきっかけで起こることが多いですが、転倒しても骨折する人としない人がいます。
今回は大腿骨頸部骨折/転子部骨折になりやすい要因についてまとめました。
【要約】
・大腿骨頸部/転子部骨折は高齢者に多く、女性に多い。
・大腿骨頸部骨折は骨癒合が障害されることが多い。
・骨密度のみでなく、大腿骨の形態、内科疾患なども骨折のリスク因子となる。
▮大腿骨頸部骨折/転子部骨折とは
以下のが写真の大腿骨の頸部が骨折したものが大腿骨頸部骨折、転子部が骨折したものが大腿骨転子部骨折です。
発生率は40歳から年齢とともに増加し、70歳を過ぎると急激に増加。
高齢者での発生率は男性より女性が高い傾向があります。
一般的には頸部骨折は転子部骨折より骨癒合が起こりにくいです。
治療は手術療法が多いですが、高齢者は合併症の影響で手術が困難な場合は保存治療となる場合もあります。
▮大腿骨頸部/転子部骨折のリスク因子
大腿骨頸部/転子部骨折ガイドラインより、リスク因子について書かれています。
・骨密度低下 Grade A
・大腿骨頸部が長い Grade B
・甲状腺機能亢進症、性腺機能低下症、胃切除術の既往 Grade B
・糖尿病、腎機能低下 Grade C
・膝痛 Grade C
・視力低下 Grade C
※Grade Aが最も信頼性の高い因子。
このことから骨密度の影響はかなり大きいと思われます。
よって、高齢者の女性に多い骨折といえますが、骨密度が小さいのは高齢者の女性だけではありません。
脊髄損傷患者や麻痺患者でも骨密度が低下し骨粗しょう症になりやすいと言われています(大澤ら,2002)。
麻痺側への荷重訓練は骨密度が低下させないためには必要になりますね。
▮まとめ
高齢者女性のみでなく骨密度、形態的問題、内科疾患などもリスク因子になりうるというのは必要な知識かと思います。
内科疾患でいえば糖尿病はあらゆうる疾患のリスク因子になるため予防と治療が必要です。
また、胃の切除歴がある人は栄養不良になりがちなので、栄養面も骨折予防にはかかせない視点になります。
【参考文献】
・大腿骨頸部/転子部骨折診療ガイドライン
https://minds.jcqhc.or.jp/n/
・大澤傑ら,リハビリテーション医学,2002
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrm1964/39/12/39_12_793/_pdf/-char/ja