▮はじめに
腰痛は多くの国民が経験する症状ですが、日本国内では腰痛有訴率が 40 ~ 50%、腰痛の既往歴が 70 ~ 80% との報告が多いようです(参考文献①)。
腰痛になると湿布添付、ストレッチ、マッサージ、温熱などに加えてコルセット装着もよく行われる痛みの緩和方法ですね。
今回の記事は腰痛に対するコルセットがどのくらい効果があるかを、文献所見からまとめてみたいと思います。
【要約】 ・コルセットに関しては腰痛を軽減する役割はあるが、予防的効果があるかは不明である。 ・コルセットを巻くと体幹筋力が低下すると言われているが、必ずしもそうは言いいきれない。
▮腰痛に対するコルセットの効果は?
コルセットを巻くことで腰部・腹部の内圧が高まり、腰椎の固定性が高まるため腰椎や腰椎周囲の組織への負担が軽減し痛みが緩和すると考えられますが、系統的レビューから、腰部コルセットに関しては腰痛を予防可能であるというエビデンスはなかった(参考文献②)と言われています。
しかし、コルセットを装着した群では、腰痛を有した期間が有意に短く、装具は腰痛の再発予防に有効であった (参考文献③)とも言われています。
これらをまとめると、腰痛に対してコルセット装着は、痛みを軽減する役割はあるが、予防的効果があるかどうかは不明ということになります。
▮コルセットを巻くと筋力低下が起こる?
腰部コルセットを巻く際に良く聞かれる質問ですが、これに対しては、装具が体幹の筋力低下をもたらすことを示唆する決定的な科学的証拠は得られなかった(参考文献④)と記されています。
つまり、腰部コルセットを巻いても必ず体幹の筋力が低下するとは言えない、ということです。
▮まとめ
以上、短文ですが腰痛に対するコルセットの記事でした。
個人的には痛みを緩和して動くことが腰痛には必要だと考えているので、コルセットをして動きやすくなるのであれば装着し、痛みが落ち着いてきた外すことを勧めています。
【参考文献】
①腰痛ガイドライン第2章疫学
https://minds.jcqhc.or.jp/docs/minds/LBP/03_Ch2_LowBackPain.pdf
② 、2004
PMID: 15289592
③
PMID: 18025444
④腰痛ガイドライン第5章予防
https://minds.jcqhc.or.jp/docs/minds/LBP/06_Ch5_LowBackPain.pdf