▮はじめに
トレッドミルというのは、いわゆるウォーキングマシン(歩行機器)です。
リハビリテーション場面でもよく使われる機器ですね。
「トレッドミルをやっていて、歩きが良くなりますか?」
という質問をよく受けますので、この記事ではトレッドミルの効果に関して論文の知見と、私の考えを書きたいと思います。
【要約】 ・パーキンソン病、脳卒中患者にはトレッドミルトレーニングが効果的という報告が多い。 ・通常の歩行とトレッドミル歩行はシステム的に異なる点がある。 ・通常歩行とトレッドミルの違いを考慮してトレーニングすると良い。
▮トレッドミルトレーニングに関する報告
パーキンソン病に対するトレッドミルトレーニングに関する報告がいくつかありましたので紹介します。
▮一回のトレッドミルによる歩行訓練で歩行速度と歩幅の増加の効果がみられた(参考文献)。
▮傾斜を3%つけて約5分間後方歩行すると最大歩行速度は高めることから、平地歩行能力を即時に改善する効果がみられた(参考文献)。
▮体重の20%を免荷したトレッドミルトレーニングにより歩行能力向上がみられた(参考文献)。
次に、脳卒中に関するトレッドミルの効果に関する報告を紹介します。
▮脳卒中の亜急性期での免荷式のトレッドミルトレーニングは、従来の歩行練習と同様の効果が得られた。また、股関節伸展角度は従来の歩行練習より効果的だった(参考文献)。
▮慢性期の脳卒中の患者では、即時的には歩幅の改善、経時的には歩行率の改善による可能性が示唆された(参考文献)。
このように神経系の疾患に対するトレッドミルトレーニングの効果はありそうです。
▮トレッドミルと普通の歩行との違い
トレッドミル上を歩くことは、動く地面に合わせて足を動かします。
また、トレッドミルは捕まる箇所があることと、環境が変わらないという点です。
①動く地面に合わせて足を動かす
普通の歩行と異なり、自分自身で重心と床反力をずらして歩行開始するというシステムはトレッドミルにはありません。
また、歩行中も動く床面に合わせて足を出していくため、使う筋肉量も少ない事が想像できます。
②捕まる箇所がある
捕まる箇所を使用する場合は、股関節で上半身を支えるシステムが働きませんので、普通の歩行には反映されにくいです。
さらに前方に捕まる場合は、、上半身が前傾してしまうため、股関節伸展が出現しにくいのが難点です。
③環境が変わらない
人は周りの景色が移り変わる様子を視覚的に感知しています。これをオプティカルフローといいます。
トレッドミル上では、これがないので実際の歩行で使用する視覚のシステムとは異なります。
※景色が動くようなVRをしながら行うと、この点はカバーできると思います。
以上、これらのことを考慮してトレッドミルトレーニングを行うと良いと思います。
▮おわりに
はじめに記載した「トレッドミルをやっていて、歩きが良くなりますか?」という質問ですが、答えは使い方によるということになると思います。
パーキンソン病や脳卒中のように通常の歩行を行うのが困難な人に対しては、足の交互運動を誘発できるので良いと思いますが、
ある程度、通常の歩行が行える人にとっては目的を考えないと効果がでないという結果になってしまうと思います。
最後にお勧めのルームランナーはこちら↓。値段の割に性能が高いのでおススメです。短文ではありますが、参考になれば幸いです。