▮はじめに
見た目では同じ運動でもやり方によって効果が変わってくるという現象があります。
今回の記事では、「ブリッジ運動」を取り上げてそのような話をしたいと思います。
【要約】
・ブリッジ運動は術後やベッド生活が中心に方に有効な運動である。
・片足にする、足の角度、床面の硬さ、骨盤の状態などによって効果が変わってくる。
・ブリッジの状態をみて、動作レベルを予測することができる。
▮ブリッジ運動とは
ブリッジ運動は運動療法でよく取り上げられるものですが、一般的には仰向けになってお尻を挙げる運動をいいます。
この運動は術後早期から下肢に荷重をかけることができるので、術後のリハビリでよく使われます。
また、術後に限らず高齢者や障がいによりベッド生活が中心の方にもよく使われます。
このブリッジ運動に関する論文はたくさん出ていますが、臨床的で使えそうなものをいくつかピックアップしたので、次に紹介します。
ただし、著名な科学雑誌の査読を通ったものではないので、信頼性の観点からは何とも言えませんが、参考にはなると思います。
▮ブリッジ運動のあらゆる見解
①ブリッジ、片足ブリッジ、片足足組みブリッジを比べると普通のブリッジが最も腹横筋の働きがみられた(中村 壮大ら,2016)。
これは普通のブリッジが最も負荷が少ないため、インナーマッスルが働きやすかったと推測できます。
よって、インナーマッスルとアウターマッスルのどちらを鍛えたいかによって、ブリッジの種類を変えると良いと思います。
②片足足組みブリッジは大臀筋、ハムストリング の収縮が普通のブリッジより得られる(田中芳樹ら,2018)。
片足ブリッジはレベルが高いので、その前の段階として足組をするとよいという報告です。
③片足ブリッジは普通のブリッジと比べて大殿筋下部は優位に働く(安田透ら)。
大殿筋上部は股関節外転、大殿筋下部は股関節内転方向に収縮します。
歩行では、立脚初期で大殿筋下部、立脚中期で大殿筋上部が寄与することから、片足ブリッジは歩行の立脚初期の大殿筋下部の活動を高める効果があると予想できます。
④両側ブリッジ (膝の真下に足)で、体幹-大腿の直上までお尻上がらないひとは
これは、ベッド生活から離床を進めていくにあたり、筋力を確認する上で有効な指標だと思います。
⑤大殿筋および脊柱起立筋は、エア
角度条件間では,膝関節角度が小さいと大殿
大殿筋を収縮させたいときは床面が柔らかいほうが良いということです。また、膝の曲がる角度が浅いと大殿筋はあまり活動せずに大腿二頭筋(ハムストリングス)の収縮が優位になりますので、使い分けが必要になります。
⑥骨盤を自動的に後傾させると大殿筋筋活動が脊柱起立筋筋活動に比べ相対
これは骨盤を後傾させると大殿筋が優位に働くという報告です。脊柱起立筋が優位に働く人には、この方法を採用して大殿筋を働かせると良いと思います。
⑦片麻痺の人の起立と移動動作能力に影響する因子として、麻痺側ブリ
この研究は、ブリッジ運動時の足底への荷重率,股関節伸展角度,膝関節伸展筋力,麻痺の程度(BRS)の中で、どれが起立や移動に影響するかを調べたものですが、ブリッジ運動時の足底への荷重率と麻痺の程度が有意に選択されたとのことです。
片麻痺の方に対しては、ブリッジ運動が訓練になりますが、評価としても有効かもしれませんね。
▮まとめ
・大殿筋を収縮させたい場合は、膝の角度を深く位置させて、骨盤後傾位にするとよい。さらに床面が不安定だとさらに良い。 ・歩行初期で働く大殿筋下部を活動させたい場合は、片足ブリッジが良い。 ・評価として、両側ブリッジのお尻の上がり具合や、片麻痺の方では荷重量を見ることで動作レベルを予測することができる。 ・ハムストリングスを収縮させたい場合は、膝の角度を浅くした位置で行うと良い。 ・ブリッジは負荷量は少ないので、腹横筋のようなインナーマッスルを働かせるのにもよいが、アルターマッスルを働かせたい場合 は片足の足組みブリッジや片足ブリッジのほうが良い。
という感じですね。
とにかく、目的に応じて使い分けが必要だと思います!参考になれば幸いです。
※執筆者のサロンこちら