リハビリテーション関係, 姿勢関係

姿勢は見た目で判断してはいけない~円背高齢者に例に~

はじめに

代償動作という言葉をご存知でしょうか?
代償動作とは、本来の動作や運動を行うのに必要な機能以外の機能で補って動作や運動を行うことです。
見た目の姿勢や動作は変わっていると代償動作と決めつけてしますことがあると思います。

代償動作は良いのか?悪いのか?
その辺はあいまいだったりしますので、この記事では円背※の高齢者を例に出して解説していきます。

※円背:背中が丸い姿勢

【要約】
・代償動作は良い場合と悪い場合がある。
・腰椎前弯の有無が大事になる。
・その人に合った姿勢や動作が必要である。

代償動作は良い?悪い?

私見ですが、代償動作は悪い場合と良い場合があります。

悪い代償動作は、使える機能があるのにその機能を使わずに行っている場合です。
また、麻痺の症状を改善したいのにも関わらず、代償動作ばかり使っている場合です。

良い代償動作の例を挙げます。
良い代償動作は、痛みなどがあり負担をかけたくない場所をあえて使わずに動かす場合です。

例えば、高い物を取ろうとして肩を動かしたくない場合、肩は90度くらい挙げる程度にし、背伸び+身体を反って側屈する(横に曲げる)(下の右図)ことでその動作を達成する場合は、これは良い代償と言えます。

ある動作をするときに、その人が持っている機能が不十分な場合は、見た目が悪くてもその人にとっては良い動作になりますが、機能があるにも関わらず、見た目が悪い動作になっている場合や、その機能を高めたいにも関わらず行っている動作は悪い代償となります。

次に加齢に伴い骨が変形して円背になった例を挙げます。
変形した骨は元には戻らないため、その状態でうまく動く必要があります。

このような場合は、その人が持っている機能で良い動きをする必要があります
つまり、これは代償動作とは言わないです。
見た目ではなく、身体にとって良い動作を獲得する必要があります

身体にとって良い動作とは

代償動作は見た目で判断される傾向にあるため、代償動作=悪、という風潮があります。
言葉の定義で言うと、その人が持っている機能の範囲で動くことは代償動作とは言いませんので、その人に合った動き方が大事になります。

さて、下の写真のどちらかは腰痛、膝痛がありませんが、どちらでしょうか?

正解は左です!
青枠の方は痛みがありません。ちなみに赤枠の方は腰痛、膝痛が著明です。

両方共に腰椎の前弯を失った症例ですが、2人の姿勢が異なりますね。
実は青枠の人は身体に合った姿勢をとっています。

次にこの理由を説明していきます。

腰椎前弯の有無

私見ですが、腰椎の前弯が減少するとあらゆる動作が大変になると考えています(参考コラム)。

では、腰椎前弯が失われた円背高齢者はどうすれば良いのか?
筆者は2つ戦略があると考えています。

①歯車のような姿勢をつくる

これは筆者のサロンで採用している考え方になります。
下の図のように頭-胸郭‐骨盤-下肢が歯車のように、逆回転のような姿勢をとっている状態は筋肉などの組織の負担が少ないと考えています。

②重心線から大きく外れない姿勢をつくる

重心線から頭、腰部、膝関節が大きく外れない姿勢は、関節への負担が少なくなります。
下の写真のように横から見た姿勢では、円背の人はやや曲げた方が重力線から離れにくいです。

また、下の写真のように前から見た姿勢では、上半身が片側に偏ると腰や膝関節への負担が大きくなります。

それを踏まえて先ほどの写真をもう一度みてみましょう。

青枠(左)の人の方がこの法則に従っています。
歯車の法則に従わず、赤枠の人は無理して身体を伸ばしたり、無理してまっすぐにしているため、あらゆる関節や組織に負担がかかっています。
青枠の人のように骨の変形があっても、それに合わせた自然な姿勢戦略をとれば痛みが少なくて済みます。

おわりに

少し手短に説明したため、分かりにくいかも知れませんが、見た目で良いか悪かという判断ではなく、その人に合った姿勢や動きが良い、ということです。
つまり、姿勢や動き方は人によって異なるということです。
詳しい話や何か症状などがあれば、下のリンクからご相談ください。

※筆者のサロン➔こちら

 

 

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