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【解説】筋肉の役割と重要性について~サルコペニアの知見も~

はじめに
「筋肉を鍛えるのが良い」ということはなんとなく皆さんわかっていると思います。
実際に筋肉を鍛えると何が良いのかというのは案外知られていません。
この記事では筋肉の役割と筋肉が減少していくことによって体重の多くを占める組織です。

【要約】
・加齢に伴い筋肉量が減少し、特に下肢に著明である。
・筋肉の役割は①運動器②体温維持③内分泌器④防御など多々あります。
・加齢に伴い要介護状態の手前であるサルコペニアになるリスクが高くなります。
・加齢に伴い速筋が衰えやすいので速筋を鍛えましょう。
筋肉量について

男女では男性の方が筋肉量が多く、20代の時に筋肉量はピークを迎え、加齢に伴い徐々に筋肉量は減少していきます。
上肢(腕)、下肢(足)、体幹(胴体)に分けると、加齢に伴い下肢の筋肉量減少が著明という報告があります(参考文献)。ちなみに、体幹筋の筋肉量は加齢に伴う減少はみられなかったとのことです。

筋肉の役割

筋肉の役割を以下に示します。

①運動器として
➡︎関節を動かす、関節を止める役割。

②体温維持器官として
➡︎筋肉が熱源になっています。

③内分泌器官として
➡︎マイオカインと呼ばれるホルモンが分泌されます。
※骨格筋から分泌される生理活性因子群を総称してマイオカイン(myo:筋、kine:作動物質)と呼びます。

例)イリシン:筋活動により分泌され海馬に影響を与える。

④防御器官として
➡︎転倒や衝突した際、身体への衝撃を緩衝する役割。

筋肉には体内で主にこれらの働きがあります。

また、筋肉が減ると、
・冷え性
・糖尿病
・肥満
の症状が出やすいと言われています。

サルコペニア

これは筋肉量(骨格筋量)が減少していく疾患をサルコペニアと言います。
サルコペニアとは、ギリシャ語で「筋肉」を表す「sarx (sarco:サルコ)」と「喪失」を表す「penia(ぺニア)」を合わせた言葉です。
日本人の65歳以上の約20%もサルコペニアだという報告があります(山田実,2013)。

サルコペニアかどうかの診断基準は、「筋量の減少」「筋力の低下」「歩行速度の低下」の3つでしたが、日本サルコペニア・フレイル学会より2019年から変更になりました(参考文献)。
これは、歩行速度を計測できない施設が多いため、代わりに5回立ち上がりテストが採用されています。

※日本サルコペニア・フレイル学会より引用

また、萎縮しやすい筋肉速筋と言われています。特に大腿四頭筋に著明と言われています(参考文献)。
※速筋とは表層にあるものが多く関節を動かす役割で疲れやすい筋肉。
※遅筋とは深層にあるものが多く関節を固定する役割で疲れにくい筋肉。

サルコペニアになると、
・転倒しやすい
・要介護状態になりやすい
・死亡率が高くなる
と言われています。
よって、このような状態にならないように速筋を鍛えておくことが必要です!

おわりに
筋肉の役割は様々ありますので、筋肉量があるに越したことはありません。
筋トレに年齢は関係ないと言われていますので、筋トレ・運動を行うことが健康を保つ秘訣でしょう。

最後に、先ほど速筋を鍛えた方が良いと書きましたが、速筋を鍛える為にはある程度の負荷量が必要です。そこで高齢者は基礎疾患(高血圧、糖尿病など)ある人が多いので高い負荷での運動には注意が必要です。個人的には石井先生のスロトレを推奨します。

※執筆者のサロンはこちら➔https://www.reha-me.com/

【参考文献】
・谷本ら,2010
https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/47/1/47_1_52/_pdf

・石井直方.「筋肉の科学」

・山田実.「イチからわかるサルコペニア」

・石井直方.「スロトレ」

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