▮はじめに
健康を保つ為の秘訣として、2000年に東京都健康長寿医療センターから健康長寿10か条が制定されました。
【健康長寿10か条】 ①血清アルブミン値が高い ②血清コレステロール値が適切 ③足が丈夫 ④主観的健康観が良い ⑤短期記憶が良い ⑥太り方がほどほど ⑦たばこを吸わない ⑧お酒を飲みすぎない ⑨血圧は高すぎず低すぎず ⑩社会参加が活発
これは、栄養、運動、生活習慣病予防、社会参加が項目に入っており、健康に関して非常にまとまった10か条だと思います。
しかし、2017年には健康長寿10か条を踏まえて、健康長寿12か条(健康長寿ガイドライン)と言うものが制定されました。
【健康長寿12か条】 ①食生活 ②口の健康 ③体力、身体活動 ④社会参加 ⑤心理(こころ) ⑥事故予防 ⑦健康食品やサプリメント ⑧地域力 ⑨フレイル ⑩認知症 ⑪生活習慣病 ⑫介護、終末期
10か条から12か条に変更になっても、栄養、運動、生活習慣病予防、社会参加という項目は言葉を変えている感じですが、新たな概念として地域力、フレイル、介護・終末期という内容が追加されています。
この3つは全て面白いですが、今回の記事で取り上げたいものは地域力です。
▮地域力とは
地域力とは、地域社会の問題について市民や企業をはじめとした地域の構成員が、自らその問題の所在を認識し、自律的かつ、その他の主体との協働を図りながら、地域問題の解決や地域としての価値を創造していくための力のことをいいます(Wikipediaより)。
介護・障害分野では自治体と福祉・医療専門職が共同して利用者に対してサービスを提供していますが、地域力とは上記のような構成員だけではなく、市民、学生、企業などが主体的に地域の問題に関わることの力を言います。
▮社会参加とは
社会参加には、
●就労
●ボランティア
●趣味
●友人、近所づきあい
●通所サービス
があります。
高齢者が就労をすることは難しいかもしれませんが、趣味やボランティアを月に1回は行っている人は生活機能が維持されるという報告があります。やはり趣味は何か持っていた方が良いんですね。
趣味やボランティアがしている人は外出頻度が多くなりますが、外出頻度が多い人程笑う頻度が多いという報告があります(東京都大田区調査より)。笑いは健康に重要だとされているので外出しての交流は間接的に寿命にも影響しているんでしょうね。
▮男女差
男性は外出あり・交流なし群が健康状態が悪化しやすく、女性は外出なし・交流あり群が健康状態が悪化しやすい傾向がkみられたという報告がありますが、これは男性は交流が大事・女性は外出が大事ともいえるかと思います(Fujiwara,2017)。
個体差があるのは勿論ですが、男女による特徴も抑えておくと良いでしょうね。
▮社会参加は何に影響する?
以上のことを踏まえると社会参加は、
●健康関連行動:運動、禁煙、食事、健診など
●体内調整機構:ホルモン、免疫など
●ストレス発散
を促し、身体的健康と精神的健康に影響している可能性があります。
就労ができる人は就労を無理のない範囲で行い、そうでない人は趣味活動などを積極的に参加してくことが健康を保つには良いと思われます。
▮おわりに
介護保険分野では地域包括ケアシステムという言葉があります。
自治体と福祉・医療サービス関係者だけでなく、地域に在住している人や企業が一緒になって地域を盛り上げ、助け合う関係が大事なんでしょうね。
・自助:自分の身を自分で守ること
・互助:市民間で助け合うこと
・共助:保険などで助けること
・公助:税金で助けること
という4つの言葉を踏まえることが大事です。
さらに商助(企業支援)を加えて考えていくと地域力が増すのではないでしょうか?
自分のみでなく、他者も考えられる地域にしていけると良いですね!
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▮参考文献
・Fujiwara Y.et al:Synergistic or independent impacts of low frequency of going outside the home and social isolation on functional decline: A 4-year prospective study of urban Japanese older adults.2017
・健康長寿ネット