医療情報関係

側弯症に関する基礎知識(疫学、診断、治療、予後)

はじめに
側弯症という言葉を聞いたことがありますか?
私は今の仕事に就くまでは側弯症という言葉を全然聞いたことがありませんでした。
私が日々接している高齢者で側弯症をお持ちの方に話を聞くと、若いうちから背骨が曲がっていた方や、中年以降に背骨が曲がったという方がいます。

側弯症で悩んでいる人が案外多いという印象を私は持っています。そこで、側弯症に関する基礎的な知識を知っておくことで、対応方法が分かると思いますので、今回は側弯症に関する基礎的な内容を書きたいと思います。



側弯症とは
側弯症に関する基礎的な内容をここでは説明したいと思います。

分類
①機能性:後天的なもので、何らかの原因(脚長差、痛みなど)で側弯症になっている場合。
②構築性:生まれつきのものから後天的なものまであるが、多くは原因不明。
a.特発性側弯症
1 .乳幼児側弯症(発症が 0~3 歳)
2 .若年性側弯症(発症が 4~9 歳)
3 .思春期側弯症(発症が 10 歳以降)
b.先天性側弯症
c.神経筋原性側弯症
※参考文献➔https://www.sokuwan.jp/patient/disease/cause.html

側弯症は大きく分けると生まれつきのものと後天的なもの2つあります。

疫学 
次に側弯症の疫学についてですが、日本人発生率は1~2%と言われています。
また、側弯症の60〜90%が原因不明の特発性女子に多いと言われています。 

※参考サイト➔https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/scoliosis.html

変形の仕方
側弯症は脊柱がねじれる疾患です。
背骨ねじれ方は、背骨の回旋と側屈が同時に起きるカップリングモーションによりねじれることが多いです。

【背骨のカップリングモーション】※胸椎後弯、腰椎前弯の場合!
・胸椎:同側に回旋と側屈が起こる
・腰椎:対側に回旋と側屈が起こる(第5腰椎-仙骨間は同側)


※注意:側弯症の場合、カップリングモーションのように変形しているケースだけでなく、棘突起は凹側へ回旋・偏位し,椎体は凸側へ回旋するケースもあります。
また、凹側の肋骨は前方に突出 し,凸側では後方へ突出することがあります。

側弯症の診断
基本的に側弯症の診断はレントゲンにより医師が判断しますが、簡易的な検査があります。これは子供の時に検査をした記憶がある人もいるのではないでしょうか?
下の図のように前かがみになり、左右の背中の高さの差が1~1.5㎝以上であれば側弯症の疑いがあります。

1978 年 学校で検診
https://www.jstage.jst.go.jp/article/spinalsurg/26/2/26_162/_pdf/-char/ja 

レントゲンでは、コブ角が10度以上を側弯症と言います。この値が大きいほど、側弯の程度が大きいと言えます。

コブ角とは、側弯の程度を表したもので、一番曲がっている脊椎の箇所の角度を測定します。

少し古い文献ですが、側弯症の人は利き手側の胸椎が凸している人が多かったという報告があります!
※参考文献  (Goldberg,1990)
これをカップリングモーションを元に考察すると、右手を使う人は右手が前方にあることが多いため、体幹が左回旋位姿勢となることから、胸椎左回旋・左側屈パターンになると考えられます。

予後
側弯症の方は腰痛になりやすいと言われています。
また、重症例では拘束性肺機能障害に至り、
肺高血圧から右室不全へとつながり、やがて肺性心となるような予後不良なものもありますが、これは人によるところが大きいです。

治療
側弯症の治療は以下の3つが主となります。

保存療法(動療法)
②手術
一般的には、胸椎では50-55度を超えたら手術を考えると言われています。
手術は切開して背骨をまっすぐに矯正した状態で金属で固定する方法です。

装具療法
装具療法で、51人中21人が5度以上改善したと述べられている報告があります。
※参考文献➔https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai1951/36/4/36_4_1413/_pdf

https://www.srs.org/japanese/patient_and_family/scoliosis/early_onset_scoliosis/treatment/bracing.htm

おわりに

最後まで見て頂きありがとうございます。今回は、側弯症の基礎知識に関する記事でした。
側弯症に関して悩んでいる方は案外多いので、セラピストとしてはそれに関する知識を入れておくことが大事だと思います。当サロンでも側弯症の方を見ておりますので、よろしければお越しください。

※執筆者のサロンはこちら➔https://www.reha-me.com/

以下に側弯症の参考図書をご紹介しておきます。

【参考図書】

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