▮はじめに
個人的な話になりますが、私はヒト動きを見る前に姿勢を観察します。
動作は姿勢の連続であると言われているように、姿勢をみることで、ある程度動作を予測することができますし、姿勢が変わることで動作が変わります。(姿勢分析の記事はこちら➔★)
よって、姿勢を見ることは日常的に行っている行為ですが、 「良い姿勢ってなんですか?」と聞かれることが多いです。
実はこの問いは非常に答えにくいんです!
この記事では、姿勢の定義から良い姿勢、悪いとされている姿勢の話をしていきますが、もしかしたら何かのヒントになるかもしれないので、良かったらご覧ください。
▮姿勢とは
姿勢の定義は色々あると思いますが、ここではケンダルの定義をご紹介したいと思います。
「姿勢(posture)とは運動に対する身体 の全関節の肢位(positions) を合成したもので,姿勢は筋バランス(muscle balance)という観点からも記述でき, 姿勢障害を評価し治療するには,アライメント,関節,筋に関連し た基本的原則を理解 する必要がある」とのこと。
次に良い姿勢の定義は、あるようでないのが現状です。
ここではいくつか良い姿勢の定義をご紹介したいと思います。
▮中村は、「良い姿勢か悪い姿勢かを判断する評価基準はどこに視点をおく
・力学的 ・生理学的 ・運動生理学的 ・心理学的 ・作業効率的 ・美的 ※ 中村隆一より
▮矢野は、「良い姿勢とは骨格とそれを支えている筋肉群のバランスがよ
※矢野一郎.姿勢と健康.姿勢研究所.1996
▮鈴木は、何が「良い姿勢」であるかを一律に記述することは困難で
※鈴木貞興.下肢運動器疾患による姿勢異常に対する理学療法.理学療法.2
上記のように良い姿勢の定義は色々ありますね。
良い姿勢をまとめると、
●良い姿勢は視点によって変わってくる
●特定の骨や筋肉への負担が少なくバランスが良い状態
●症状がなければ、その姿勢で良いという考え方
という感じだと思います。
次に不良姿勢で有名なものをご紹介します。
▮代表的な不良姿勢
ここでは横から見た代表的な不良姿勢を4つご紹介します。
▮kyphosis-lordosis posture(後弯前弯型)
▮sway-back posture(後弯平坦型)
▮flat-back posture(平背型)
▮lordosis posture(腰椎過前弯型)
これらの姿勢は背骨の形状が若干異なります。脊柱の形状は伴い下肢や上半身の姿勢にも影響を及ぼします。
下の左写真のように前からみて左右差を見たり、右写真のように一般的に言われているラインからの逸脱を見たりする方法が一般的ですが、それも左右差あり=異常、とは限りませんし、ラインからの逸脱=異常、とも限りません。
前項の「良い姿勢」の定義と照らし合わせると、これらの姿勢=異常、と決めつけるのは早いです。
状況、当人の状態などを考慮して、修正が必要であれば修正を行うような指導をするようにします。
▮おわりに
姿勢を修正すれば良いという風潮がありますが、そういう訳でもありません。
姿勢はその人の歴史や、現在の状況を表すサインの一つです。
セラピストとしては姿勢を見ることは重要だと思いますが、それが全てではないというのも感じます。
参考になれば幸いです。
※執筆者のサロンはこちら➔https://www.reha-me.com/
▮参考図書
※参考文献
http://www2.sozo.ac.jp/pdf/kiy