問診、視診、触診、(聴診)
が大事だと、医療では言われています!医療だけでなく介護でも大事ですが、初回介入では特に重要です。今回はその中でも視診を取り上げて、その中でもセラピストの特技である姿勢の視診を取り上げたいと思います!
姿勢とは、、
色々な定義があると思いますが、私は「重力に対する身体の適合状態」と考えます。地球上で生活している限り常に重力がかかっています。各々が重力に適応するために身体が勝手に反応し、身体の形態を構築し、生活できるような状態にしています。
姿勢分析とは、、
ただ右肩が下がっているとか、体が捻じれているとかではありません。形態をみるだけでは「姿勢観察」と言えます。「分析」なので、形態を見て特徴を把握し、問題点を抽出することが姿勢分析となります。
良い姿勢とは、、
これは座位、立位、仰向けなどによって変わってくると思いますが、3つの視点から良い姿勢を定義すると、
<力学的> 体節の各重心を統合した重心線が支持基底面に落ちている状態。
<生理学的> エネルギー消費率が少なく、最小の筋活動による姿勢。
<解剖学的> 特定の組織に負担がかかっていない状態。
の3つを兼ね備えた状態が良いと考えています。教科書のような「耳垂-肩峰-大転子-膝関節後方-外果前」のような姿勢は目安になりますが、骨の形や筋肉などの組織の状態は人によって異なるため、「良い姿勢は人によって異なる」と言えます。
姿勢を見て推測できること
下のロープで支えている棒の図を見てください。棒が右に倒れようとすると、右側のロープはたわみ、左側のロープはテンションがかかりますよね。これが身体内でも同じようなことが起きています。
棒が右に倒れる原因を考えると、右のロープが硬い(短縮)か、左のロープが弱い(伸張)かです。つまり、筋力で言えば傾きをみれば、緊張筋か弱化筋かを予測することができるます。関節、靭帯、皮膚などの影響がありますが、分かりやすく筋肉で考えると、筋力のアンバランスがこのような傾きを生んでしまします。
積み木式分析
下図の積み木のように身体を考えると分かりやすいです。人は無意識に倒れないように重心を支持基底面に収めようとします。よって、どこかがずれるとそれ以外の積み木も倒れないように修正がかかります。人の体に当てはめると、頭部がずれると胸郭や股関節や足関節などほかの部位で修正をかけます。
つまり、ずれている箇所以外にも筋肉の短縮部位と伸張部位がでてきてしまいます。
姿勢パターンの紹介
立位姿勢もしくは座位姿勢は大きく分けると下図の2つに分けられます。勿論、どちらにも当てはまらないケースも多々ありますので参考までに。
■ 台形パターン:背骨がC字に彎曲していることが多い。
■ 平行四辺形パターン:背骨がS字に彎曲していることが多い。
台形パターンと平行四辺形パターンではに、緊張筋と弱化筋の部位が異なります。
また、上半身が傾斜(偏移)している場合は、下図のようなパターンにも分けられます。
■ C型パターン:傾斜側の膝が外反していることが多い。
■ S型パターン:非傾斜側の膝が外反していることが多い。
これは完全に私見になります。下肢の構造の崩れが上半身の崩れを助長している場合がありますので、上半身の傾斜も下肢の状態をみておくことが必要になります。
引き算式分析
下の写真を例にみてもらうと、左の写真は左肩が下がっていますが、膝立ち姿勢では肩の高さが是正されています。この場合、肩の高さをつくっているのは、膝から下のパーツだと推測できます。これでも高さが変わらない場合は、座位になってもらっても良いです。
このように、姿勢を変えることで、パーツの配置が変わることで、推測していく方法もあります。
時短に役立つ姿勢分析
全体的な姿勢をみること、局所的な姿勢をみることで、その人の特徴や問題点を推測することができます。
視診は、問診をしながらや、待って頂いている間などに行うことができる為、クライアントさんに負担がかかりません。そして、その後の触診や検査測定を効率的に行うことができ、時間短縮に役立ちます。
また、日頃のしぐさや生活動作をみることで特徴や問題点を推測することも重要です。
下の写真を例に出すと、左手に鞄をもっていることで、左肩が下に下がり体幹はバランスをとる為に右下肢側にシフトしています。
どこかがずれると、いろいろな部位でバランスをとろうとする反応が起こります。僧帽筋上部線維だけを着目すると、右肩側の僧帽筋上部は短縮位となり、左肩側の僧帽筋上部は伸張位となります。
良い代償を目指す
今まで簡易的な姿勢分析を紹介してきましたが、良く聞かれる質問を紹介します。
「完全に変形してしまった人はどうすればいいですか?」とか「良い姿勢に持っていけない人をどうすれば良いですか?」をよく聞かれますが、結論からいうと完全に変形してしまった骨は治りません(治るかもしれませんが、私は治せません)。
その場合は、良い代償を目指すことを臨床では考える必要があります。良い代償とは、その人がもっている機能をフルに活かして、組織に負担がかからず効率的に動ける状態と言えます。
下の図のように円背の人でも逆回転で相殺するような制御ができて、反力が関節の近くを通っていればそれほど問題にはなりません。
このような人に対して無理矢理「背を伸ばして歩きましょう」とか指導すると、歩行距離が延びなかったり、どこかに痛みが出現します。
以上、姿勢分析についての私見を述べさせてもらいました。少しでも参考になれば幸いです。
また、姿勢分析のより詳しい内容はnoteに書きましたのでよかったらご覧ください。⇒ 「姿勢分析~視診で予測し時短介入につなげる方法~」
※執筆者のサロンはこちら➔https://www.reha-me.com/
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