医療情報関係

【解説】糖尿病の合併症について~腎臓、目、神経だけではない~

はじめに
糖尿病はインスリンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖(血糖)が増えてしまう病気です。
この記事では糖尿病によって起こる合併症と、それに対するリハビリについて書いていきますので、よろしければご参照ください。

【記事の要約】
・糖尿病は20歳以上の日本人の約24%の人が罹患している可能性がある。
・糖尿病は、神経、目、腎臓以外にも様々な合併症がある危険な病気である。
・20代前半でBMIが22以上だと将来糖尿病になりやすい為、若いうちから予防しましょう。

糖尿病の疫学

20歳以上を対象とした調査によると、糖尿病が強く疑われる者の割合12.1%であり、男女別にみると男性16.3%、女性9.3% で、糖尿病の可能性を否定できない者の割合12.1%であり、男女別にみると男性 12.2%、女性12.1%である、という報告があります。(平成28年国民健康・栄養調査より)。

このことから、糖尿病はかなりの人が罹患していることが分かります。

糖尿病の合併症

糖尿病になると以下の症状になる可能性があります。これは合併症は細い血管で起こりやすいとされています。

●神経障害:糖尿病神経障害
●眼:糖尿病網膜症
●腎臓:糖尿病腎症

また、上記のもの以外にもいくつか合併症がありますので以下に紹介します。

認知症
二宮らの報告によると、福岡県久山町の65歳以上の人を対象にした調査ですが、認知症有病率に関連する危険因子を検討したところ、年齢女性糖尿病の頻度と認知症有病率の間に有意な正の関連を認めたとのことです(
参考文献)。
つまり、糖尿病に人は認知症になりやすい、ということです。

首や腰の痛み
Pozzobon D らの報告によると、糖尿病の人は軟骨、椎間板、関節に炎症を起こしやすく、首や腰の痛みに関係がある可能性があるそうです(参考文献)。

五十肩
Bridgman JFの報告によると、糖尿病の人は五十肩になりやすいとのことです
参考文献)。

脳梗塞
Renzhe Cuiらの報告によると、糖尿病の人は糖尿病でない人に比べて2~4倍脳梗塞を起こしやすいとのことです(参考文献)。ちなみにくも膜下出血は関連がなかったそうです。

心疾患
Laakso Mらの報告によると、糖尿病の人は心疾患を合併していると末梢血管疾患に罹患しやすく、心疾患になりやすいそうです(参考文献)。

睡眠時無呼吸症候群  ※令和元年5月21日追記
Bahnasyらの報告によると、末梢神経障害を合併する2型糖尿病の人は睡眠時無呼吸症候群になりやすいとのことです
参考文献)。

糖尿病のリスク因子

染谷らの報告によると、青年期である20歳代前半のBMIが22㎏/m²以上の場合、将来の糖尿病発症リスクが高くなるとのことです(参考文献)。中年以降でなく、若い時から体重管理が重要になるということです。

ただし、ここで一つ注意しないといけないのは、BMIはあくまで体格の指標の為、筋肉質の人(脂肪量)を考慮していませんので、BMIが糖尿病に直接的な影響があるとは言えないと思われます。あくまで統計的に上記のような結果になった、ということです。恐らく、若い時の生活習慣・思考の癖は中年以降も変えられない人が多い、ということだと思います。

おわりに
以上、糖尿病の合併症に関する記事でした。
こんなにたくさんの病気になる可能性のある病気の為、糖尿病を予防すれば健康寿命を延ばせると思いますし、医療費も削減できるのではないでしょうか?
若いうちから予防しておきましょう!

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▮参考図書



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