治療関係

大腿骨の前捻角(股関節の形態)の重要性~クレイグテスト~


クレイグテスト(craig test)

をご存知でしょうか?
これは、大腿骨の前捻角を調べる検査です!

前捻角とは、下図のように大腿骨が前方に捻じれている角度の事で、正常は15度くらいです。
ちなみに小児は35度くらいあり、成人になるにつれて角度が小さくなります。

※図は上から見たもの

骨の形態は表面から見えないので、触れる箇所は触って確認すると思います。

大腿骨の前捻角はうつ伏せが取れる人であれば、足を動かせば分かるとても便利な検査です。

この検査は信頼性が高いとされており、セラピストの経験年数でも差が出にくいとされています。
※参考文献⇒https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2009/0/2009_0_A4P2038/_pdf


クレイグテストのやり方
は簡単!

① うつ伏せにする
② 膝を90度曲げる
③ 外側に動かす(股関節内旋)
④ 大転子を触り、最も突出した箇所で止める
⑤ その角度を見る (これが前捻角)

※ 足裏側から見た図

脂肪や筋肉の膨隆で大転子の触診がやりにくい人に対しては難しいですが、痩せ型の人に対しては意外と簡単です!

※大腿骨の外側の出っ張りが大転子

ここで前捻角についてですが、前捻角によって適切な股関節の角度が変わります

これはとても重要なので、もう少し詳しく書きます!

股関節は骨盤(寛骨)の凹と大腿骨頭の凸がうまく適合すると安定します!ちなみに関節全般に言えることですが、関節の適合性が良いと安定します。

※茶色が寛骨、青が大腿骨頭

前捻角が大きいと股関節内旋を強めないと安定しません!
また、前捻角が小さいと股関節を外旋しないと安定しません。

前捻角が大きい人ほど股関節屈曲可動域が大きいという報告があります。
参考文献⇒https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/32/6/32_855/_pdf

これは、前捻角が大きい人を見た目で股関節中間位にすると股関節が外旋する為、屈曲しやすいということです。
股関節は大腿骨が外旋せずに屈曲すると、70度くらいしか曲がらないとう報告もあります(吉尾より)。
つまり、大腿骨が外旋することで関節の適合性が良くなり屈曲が可能になります。

この記事で言いたいことは、見た目で判断するのは危険だということです!

例えば
左の前捻角は正常で、右の前捻角が大きい方に対して、左右対称にするようなアプローチをすると右の股関節は適合性が悪くなるので、右の股関節に負担がかかってしまいます。

見た目で判断するのではなく、筋の緊張皮膚の滑りで関節の適合性を確認するのが良いです!

健康関係の一般書には、見た目を左右対象にしましょう、と書かれていますが、それがうまく行く人と行かない人がいるというのは頭に入れておくべき事です。

理由は骨格が人によって違うからです!

まとめ

・ 見た目で判断しない
・ 関節の適合性が良い状態が良い
・ 人の骨格は各々微妙に異なる
・ 股関節を見る時はクレイグテストをしてみましょう(但し、うつ伏せにできれば)

※執筆者のサロンはこちら➔https://www.reha-me.com/

<参考図書>

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