医療情報関係

大腿骨近位部骨折(頸部骨折)の疫学について

はじめに

大腿骨近位部骨折は高齢者で多くみられる骨折の一つで、要介護状態になる要因の一つでもあります。
この記事ではそんな大腿骨近位部骨折に関する情報(主に疫学)を解説していきたいと思います。

大腿骨近位部骨折とは

以前は大腿骨頸部骨折と言われていましたが、近年は大腿骨近位部骨折と言われています。
大腿骨近位部とは、骨頭、頸部、頸基部、転子部、転子下を指します。

骨折部位としては頸部と転子部が多いと言われています。

大腿骨近位部骨折の疫学について

次に大腿骨近位部骨折の疫学について箇条書きで述べていきます(参考文献はガイドライン)。

性差:女性に多く加齢とともに増加傾向あり
時期:1月、12月、10月の順に多い
発生機序:転倒が最も多い(74%)。転倒した人の1%が大腿骨近位部骨折を呈したと推定される。
転倒以外のリスク因子:喫煙、向精神薬、低体重、加齢、多量のカフェイン摂取、果物野菜不足など。
既往歴のリスク因子:アルツハイマー型認知症、脳卒中、甲状腺機能亢進など。
場所:屋内(75%)が多い
骨折しやすい骨形態:大腿骨頸部が長い人ほど骨折しやすい。

 

また、治療の関する統計も以下に記載しておきます。

保存治療は偽関節になる可能性が高いため、手術可能な症例については保存治療は行わない方がよい。
・転移型骨折に関して行う手術は、人工股関節全置換術(THA)は人工骨頭置換術より疼痛が少なく機能的に予後が良い。
・非転移型骨折に関して行う手術は、スクリューとSliding Hip Screwどちらも予後に差はない。
手術後の骨癒合率は、非転移型は84~100%、転移型は59~97%である。
・人工股関節置換術後の脱臼リスクは1~5.6%。

 

予後に関する統計は以下の通りです。

・術後の歩行能力の回復は、術前の歩行能力、年齢、認知症の有無が関連する。
・骨折後1年以内の死亡率は10%前後。

おわりに

大腿骨近位部骨折は高齢者で頻度の多い骨折でリハビリテーションの現場で多く遭遇する症例です。
予後は個人差がありますが、ガイドラインの情報もある程度頭に入れておくと良いと思います。

 

【参考文献】
・大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン2021(改訂第3版)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です