▮はじめに
膝痛はスポーツ時や中年以降にかけて好発する症状ですが、膝痛の要因の一つに半月板損傷が挙げられます。 今回の記事では半月板損傷を手術をせずに治療する方法(保存療法)についてまとめていきたいと思います。
【要約】
・半月板損傷は男性に多く、障害有病率は12~14%である。
・内側半月板損傷が外側半月板損傷より多くみられる。
・半月板損傷の保存療法は薬物療法と運動療法である。
・運動療法は膝関節の安定性を高めるための筋トレとサポーター装着と、膝への負担を減らす動きの回旋が必要である。
▮半月板損傷の疫学
一般的には、半月板損傷は膝を強くひねったときや、膝の内反や外反方向に強くストレスがかかったときに起こりやすく、前十字靭帯損傷と同時に起こることが多いです。
半月板損傷は生涯の有病率は12~14%と言われおり、男女差では男性の方が女性より約2.5倍起こりやすいと言われています。 そして、外傷性損傷は10〜30代に多く見られ変性損傷は40代以降に増加すると言われています(Enkhmaa Luvsannyam,et al.Cureus.2022)。
加齢や運動不足により変性が起こりやすくなり、変性に陥ると比較的弱い外力でも損傷しやすくなります。
半月板には内側と外側があるが、内側半月板の方が外側半月板損傷より3倍多いと多いと言われています(E M Marigi,et al.Curr Rev Musculoskelet Med.2024)。
▮半月板損傷の症状
半月板は膝関節の間にある軟骨組織で、関節の動きの滑らかさや安静性に寄与しています。 
※Illust ACより引用
半月板を上から見ると以下の図のようになります。

※Illust ACより引用
主な症状は運動時(荷重時)の膝痛で、関節水腫を伴うことが多いです。 検査としては、関節の圧痛や膝を捻りながら動かして痛みを確認する方法(マクマリー検査)があります。
▮半月板損傷の保存治療
半月板は血管が少ない部位のため損傷した場合自然回復は期待できません。
治療としては大きく分けると、
- 手術療法
- 薬物療法
- 運動療法
となります。保存療法は薬物療法と運動療法の併用となります。
手術療法は関節鏡視下(内視鏡)で半月板を切除したりするもので、薬物療法は局所麻酔剤や最近ではヒアルロン酸注射を行うものになります。
今回は保存療法である運動療法をご紹介します。
1.筋トレ
筋トレの一例が膝関節の安定性に寄与する大腿広筋群を鍛えるクアドセッティングです。

2.膝サポーター
膝への負担を減らすために膝関節を覆う補助具も痛みの軽減に有効です。

※上の写真は一例です。
3.動作の改善(膝への捻りストレスの軽減)
膝関節にねじりストレスがかかると痛みが強くなる傾向があるため、ねじりストレスを減らすことが重要になります。
そのための運動として重要なのは、
- 胸郭と股関節の回旋の柔軟性向上⇒ストレッチ
- 足の内側縦アーチの構築⇒インソールの活用
- 股関節の筋力強化
となります。
▮おわりに
以上で半月板損傷の保存療法の記事となります。
少しでも参考になれば幸いです。ご不明な点はコメントかお問合せからご連絡ください。