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H/Q比とは~肉離れ予防について~

はじめに

スポーツ選手で肉離れを受傷する選手が多く、特にハムストリングスの肉離れの割合が多いです。
競技としては、陸上、サッカー、野球、アメリカンフットボール、ラグビー、バスケットボール、テニス、バレーボールの順番で多く発生するそうです。
一度受傷すると長期間競技から離れてしまうため、選手にとってはこの期間がとても不利益になります。
この記事では肉離れのなりやすさの指標として使われるH/Q比肉離れ予防について簡単に解説していきます。

H/Q比とは

HはHamstrings(ハムストリングス)、QはQuadriceps(大腿四頭筋)を指し、H/Q比はハムストリングスの筋力と大腿四頭筋の筋力のバランスを意味します。

ハムストリングスは下図のように骨盤から下腿を走行する大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋の総称です。

大腿四頭筋は骨盤から大腿前面を走行する大腿直筋、外側広筋、内側広筋、中間広筋の総称です。

肉離れとH/Q比の関係

ハムストリングスの肉離れは走行中に足が接地した際の起こりやすいと言われており、大腿二頭筋の長頭の損傷が多いようです。

肉離れのはっきりとした原因は不明ですが、ハムストリングスの筋力低下H/Q比の低下などが主な危険因子として考えられています(J Sports Med Phys Fitness.1993)。

肉離れの程度は奥脇分類が有名であり、損傷部位と復帰時期の見込みを示しています。


※上段が損傷部位、下段が復帰時期目安

また、奥村は大腿二頭筋の肉離れの分類も提唱しています。

肉離れはハムストリングスの筋力低下があると起こりやすいとされており、H/Q比は0.6を下回ると起こりやすいと言われています。
しかし、研究によってはH/Q比は肉離れとはあまり関係ないと述べているものもあります(Freckleton, G.2012)。

よって、H/Q比はあくまで一つの指標として考えるのが良いかもしれません。

肉離れ(ハムストリングス)予防について

ここからは私見を交えて解説していきます。
ハムストリングスの損傷は急激な切り替えやジャンプ動作など、筋肉に急激に負荷がかかるときに起こります。
そこを踏まえると以下の内容が予防には必要と考えます。

①ハムストリングスの筋力強化
②ハムストリングスの柔軟性向上
③神経筋反応速度の向上
④準備体操をしっかり行う
⑤水分摂取を怠らない

また、理学療法学的な視点で見ると、以下の身体機能が予防には必要かと考えます。

他部位の筋力低下や柔軟性低下により、ハムストリングスに負担がかかっている
②ハムストリングスの遠心性収縮の機能が低下している

前述した5つに加えて、上記の2つを行うことが肉離れ予防につながります。
気になる方はぜひご相談下さい。

 

【参考文献】
・小野高志ら.体力化学.2013
・T Yamamono.J Sports Med Phys Fitness.1993
・仁賀定雄.Jpn J Rehabil Med.2019
・Freckleton, G.Br J Sports Med.2012

 

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