▮はじめに
近年、ロボット技術が進歩しておりリハビリテーションや生活支援にロボットを活用する流れとなっていますが、まだまだ普及はしていない状況です。
この記事では現在のリハビリテーションロボットと生活支援ロボットの現状を書いていき、最後に私見を述べたいと思います。
【要約】
・リハビリテーションロボットは近年保険適応されたものも増えてきている。
・しかし、利用方法、教育制度、価格などの課題もある。
・介護保険分野でのロボット技術の活用も徐々に進んでいる。
▮リハビリテーションロボット
2016年より神経筋疾患患者(筋委縮性側索硬化症など)に対して、歩行リハビリ訓練用ロボットスーツ「HAL 医療用 下肢タイプ」の保険適用が開始されてます。
※HAL:Cyberdyneホームページより
また、2020年より発症より 2 カ月までの脳卒中また脊髄障害の急性発症に伴う上肢または下肢の運
動機能障害を有する患者(脳卒中または脊髄障害の再発によるものを含む)に対して月 1 回に限り
150 点の所定点数への加算が新設されてます(ウェルウォーク、ReoGo-J、CoCoroeなど)(参考文献)。
※ウェルウォーク:TOYOTA Partner Robotより
※ReoGo®-J:TEIJINホームページより
※CoCoroe AR2:安川電機ホームページより
このようにロボットを用いたリハビリテーションは認知されてきており、脳卒中リハビリテーション分野では期待が高まっている状況です。
しかし、浅見豊子らはロボットリハビリテーションの課題として、
①ロボット利用法の標準化
②ロボットに関する教育体制
③公的価格(ロボット価格含)の改善
を挙げています(参考文献)。
上記のようなロボットリハビリテーションに対する課題はあるものの、徐々に広がってきている現状です。
▮生活支援ロボット
2012年に厚生労働省と経済産業省は「ロボット技術の介護利用における重点分野」を定めており、2017年に改定されており、6分野13項目を挙げています(参考資料)。
介護保険での福祉用具の保険給付でも、2012年より自動排泄処理や自動制御機能の歩行器が導入されており、見守り機器でも一部保険対象になっているものがあります。
また、生活支援の中には癒し系ロボットも注目されており、LOVOTはかわいいと評判です。
▮おわりに
最後までお読みいただきありがとうございます。
近年、ロボット技術が医療や介護の世界にも広がっていますが、今後広がるかどうかはデータや価格の問題が大きいと思います。
なお、紹介した各ロボットの詳細については、各名称にリンクが貼ってありますので、そちらをご覧ください。
【参考文献】
・松野 悟之,脳血管疾患リハビリテーションにおける運動量増加機器加算,理学療法科学 35(5):757–763, 2020
・浅見豊子ら,リハビリテーション治療におけるリハビリテーションロボットの適応と限界,Jpn J Rehabil Med 2020;57:387–391