▮はじめに
薬理作用のない偽薬(プラセボ)に対して、患者が治療効果を「期
臨床現場ではこのような現象が実際に起こります。今回の記事ではプラセボについての機序に触れ、リハビリでこの効果をどのように活かせるかという点について書いていきたいと思います。
▮プラセボの機序
プラセボによる鎮痛効果が起こるときは、脳の前頭前皮質、前帯状回、中脳
※前帯状回:脳の奥の部分、中脳水道:中脳の中心部分
・オピオイド系とは、「中枢神経や末梢神経に存在する特異的受容体(オピオイド受容体)への結合を介してモルヒネに類似した作用を示す物質の総称」のことです(参考サイト)。
・ドーパミン系とは快の感情、意欲、学習に関与する脳内の神経伝達物質です。
上記のように、プラセボの機序は複雑な脳内の活動の変化によって起こります。
しかし、プラセボの機序はまだ未解明な部分がありますので、プラセボに対して懐疑的な研究者もいるそうです。
▮プラセボの活かし方
良い期待はプラセボ効果を引き出しやすいので、気にかかる情報、間違った思い込み、悲観的な予測、好ましくない
よって、なかなか先が読めないことに関して名言することが難しい面もありますが、上手にコミュニケーションを行いプラセボ効果を引き出すことができればリハビリの効果が増大する可能性があります。
これは相手の性格、相手が置かれている状況、目標などによってどの程度の期待を持たせるかは難しいですが、ここが臨床家としては重要な部分かもしれません。
ちなみに、プラセボとは反対に偽薬により副作用が出てしまうケースがあります。これをノーシーボ(ノセボ)効果といいます。この機序は不明ですが、プラセボにせよ、ノーシーボにせよ、人は思いや感情により脳内に作用が起こり、身体に影響が出るというところは頭に入れておくと良いですね。
▮終わりに
プラセボに関する記事でしたが、プラセボが大事という意味ではありません。
あくまで臨床的データと従事者の経験をミックスして身体状態を把握してアプローチすることが重要であり、プラセボは治療(機能訓練、リハビリテーションアプローチ)が上手くいくために使える要素にすぎません。
心身相関という言葉があるように身体と精神は一心同体ということは医療従事者は頭に入れておくと良いと思います。
【参考文献】
・uana Colloca, M.D.et al,N Engl J Med 2020
https://www.nejm.org/doi/10.10
・Ying zeng,et al,NeuroImage,2018
https://www.sciencedirect.com/