治療関係

歯のかみ合わせ(咬合)が全身に与える影響/セラピー、アナトミートレイン

歯科医師は歯を診る、
医師は身体を診る、
のように歯科医師と医師は資格が別になっています。
しかし近年、歯は全身に与える影響と言われています。

特に言われてるのは、
①歯周病
②噛み合わせ
です。

この記事では歯周病と歯のかみ合わせが全身に与える影響についてまとめてみましたので、よろしければ最後までご覧ください。

【記事の要約】
・歯周病は病気のリスクにもなるし、病気を悪化させる因子になりうる。
・歯が接触している時間は1日20分程度。
・開口障害は閉口筋の筋緊張亢進や全身の姿勢などの影響で起こりうる。
・顎関節は全身の姿勢に影響を及ぼす。

歯周病とは

歯周病とは、歯肉辺縁部の歯周組織の病変群に対する総括的疾患名です。歯を支えている組織の慢性炎症疾患で、生活習慣病としても加えられています。

 歯周病から起こる疾患
①誤嚥性肺炎
②細菌性心内膜炎

 歯周病が悪化要因となる疾患
①糖尿病
②虚血性心疾患
③妊娠合併症
④骨粗しょう症
(参考文献)


歯についての基礎知識

歯は何本ある?
A:正解は32本(親知らず含む)

咬んだ時、歯のどの部分が接触している?
下の図は前から見たものです。上の歯と下の歯は微妙にずれています。

下の写真は横から見た写真です。前歯は上の歯がやや前に位置し、奥歯は下の歯がやや前に位置しています。

一日どのくらい接触している?
A:正解は20分以内
通常、下顎は浮いている状態ですので、脱力していれば重力で下顎は下方に落ちます。

TCH(Tooth Contact Habit:TCH)と呼ばれる用語があり、歯が接触している時間が長い程、顎関節症になりやすいと言われています。歯が接触してしまう原因は、ストレスや噛み合わせと言われています。

顎関節症について

顎関節症の主な症状は、顎が痛い口が開かない顎を動かすと音がする、です。

症型分類 の診断基準】
Ⅰ 咀嚼筋障害・・15% 
Ⅱ 顎関節障害(関節包、靭帯)・・10%
Ⅲ 関節円板障害・・70%
Ⅳ 変形性顎関節症・・1%
※ 「%」は東京医科歯科大学調べより

顎関節症の中では関節円板障害が最も多いようです。
治療は、ストレス源の特定と回避理学療法(ストレッチ、姿勢矯正など)薬物療法(痛み止めなど)マウスピースなどの利用歯の矯正となります。

▮ 閉口動作の主動作筋
①咬筋
②側頭筋
③内側翼突筋

ちなみに下の図のように開口動作時は関節が前方に滑ります

▮ 開口動作の主動作筋
①外側翼突筋
②舌骨上筋群

つまり、口が開かない場合は、閉口筋(咬筋、側頭筋、内側翼突筋)の筋緊張が高い(硬い)か、開口筋(外側翼突筋、舌骨上筋群)の筋力低下が考えられます。

個人的に面白いのが、外側翼突筋です。この筋肉は、頭部の正中に位置する蝶形骨と、顎関節の関節円板に付着しています。

外側翼突筋
【起始】
上頭:側頭下稜(蝶形骨大翼)
下頭:翼状突起外側板の外側面
【停止】
上頭:顎関節の関節円板
下頭:下顎骨の関節突起

このことから、外側翼突筋は頭部に正中位に関わっていることと、顎関節の動きに強く関わっていると思われます。

顎関節と全身の動きとの関係

骨連鎖
下の図のような姿勢の人(頭部前方位姿勢)は多いと思います。このような姿勢の人は、下顎が赤矢印の方向にずれている可能性があります。


よって、顎関節を整えることで全身の姿勢を変えることができるかもしれません。

筋膜連鎖
これはアナトミートレインを参考にして考えてみます。下の説明文のような筋膜のラインがあります。

[Deep Front Line]
・側頭筋、咬筋
・斜角筋、舌骨筋
・胸内筋膜、横隔膜
・腰方形筋、腸腰筋
・内転筋群
・後脛骨筋
・長母指屈筋、長指屈筋

これは身体の中心の深部を通る筋膜のラインで、このラインに側頭筋咬筋が含まれています。
これらの筋膜ラインはセットで活動しやすいと言われています。よって、側頭筋や咬筋の筋緊張が高い場合や低い場合はこの筋膜ラインの働きが悪くなる可能性があるということです。

最後
以上で本記事は終わりとなります。
歯周病や噛み合わせに関与する顎関節や開口・閉口筋が全身に影響することを書かせて頂きました。

口腔・歯は歯科医師だけの分野だと思わず、セラピストも知識を入れておくと良いと考えています。今回で、口腔、歯、顎関節に少しでも興味をもっていただければ幸いです。

※執筆者のサロンはこちら➔https://www.reha-me.com


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