治療関係

運動連鎖の落とし穴~アナトミートレイン、カップリングモーション~

運動連鎖

という言葉は、リハビリ界や治療家業界では近年一般化されてきていますね!

運動連鎖は、
骨関節の連動した繋がり
アナトミートレインのように筋膜の連動した繋がり
脳の神経パターンの繋がり
を指しますが、一般的には骨関節の連動した繋がりを思い浮かべる人が多いと思います。
この3つは運動時に同時に起こります

運動連鎖の概念を知ると
「部分で考えず全身で考えよう」
という思考になります。

私はこの概念を13年前くらいに知ってからずっと臨床で用いており結果も良いですが、今回は運動連鎖の落とし穴について書きたいと思います!

①骨関節の運動連鎖

下肢では下のような連鎖をすると言われております。

ちなみに、当たり前かもしれませんが皆同じように連鎖しません

ただし、距骨-下腿の運動連鎖と下位頚椎の運動連鎖(カップリングモーション)は強固だと言われております。

●距骨
回内-下腿内旋
回外-下腿外旋

●下位頚椎
右回旋-右側屈
左回旋-左側屈

また胸椎のカップリングモーションは一様でないと言われています。
胸椎の屈曲位と伸展位でも変わるとされています。
●胸椎屈曲位:回旋と側屈が同方向の傾向が強い

●胸椎伸展位:回旋と側屈が逆方向の場合もある

運動連鎖は運動開始箇所から離れるほど波及効果は薄くなります。
ちなみに足から連鎖が起こった場合、上半身への波及は証明できていません。
勿論、上半身への波及もありますが、一様ではないということです。

人によっては波及すると思いますが、波及しない場合も多々あります。
特に高齢者のように骨変形の著明な方や靭帯が緩い方は波及しにくいです。

それも考慮して臨床で使うのが良いですね^_^

【脊柱のカップリングモーション】
 上位頸椎(C0-C2)は回旋と側屈は逆方向
 下位頸椎(C3-C7)は回旋と側屈は同方向
 胸椎は回旋と側屈は同方向
 上位腰椎(L1-L4)は回旋と側屈は逆方向
 下肢腰椎(L5-S1)は回旋と側屈は同方向

②筋膜の運動連鎖(アナトミートレイン)

アナトミートレインのラインは11種類ありますが、この繋がりは解剖的な繋がりだけではなく、動きの中でセットで働きやすいグループです。

よく「●●筋と●●筋が繋がってます」という話がありますが、隣接していなければセットで働きやすいという意味です。

筋膜というのは筋肉を包む膜の事ですが、この膜は筋肉だけでなく血管、脂肪、内臓などを包む膜にも連結しています。
膜を総称して、ファッシア、とも呼ばれています。つまり膜は全身繋がっています!

よって、アナトミートレインのラインはセットで働きやすいグループということと膜は全身繋がっているというのを頭に入れておくと、臨床でかなり使えます^_^

③神経パターン

神経パターンのことをシナジーいいます。神経が発火する際にグループで発火するしくみのことです。

例えば、目の前のコップを取ろうとした時には手、肘、肩だけでなく、目、体幹、下肢などの筋肉をセットで発火させることで動作遂行されます。

このパターンは人それぞれですが、麻痺などがない場合は、繰り返し行われる動作習慣やその人が持っている身体構造が影響していると思われます。

シナジーパターンは人それぞれなので、その人にとって効率的なパターンを学習してもらうという思考が臨床で使えます^_^

おわりに

以上、運動連鎖の落とし穴についてです。
落とし穴というか補足という方が正しいかもしれませんね(^^;;少しでも参考になれば幸いです。

※執筆者のサロンはこちら➔https://www.reha-me.com/




参考文献
・https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/43S3/0/43S3_31/_pdf/-char/ja
・https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/27/6/27_661/_pdf
・https://www.jstage.jst.go.jp/article/mpta/22/1/22_1_17/_pdf
・姿勢と歩行 協調からひも解く

結果の出せる整形外科理学療法−運動連鎖から全身をみる

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