医療情報関係

病院に通い続ける人の理由とは?

はじめに
「通院症候群」という本を読みました。
この本を読む前は、病院に依存してしまっている患者さんの特徴について書いてあるのかと思い、興味を持って購入しましたが、読み進めてみると著者が意識しているコミュニケーションスキルについても書かれていて大変勉強になりました。

この記事ではこの本の内容の中でも、私が興味を持った部分に絞って書いていきます。

【要約】
・病院に通い続ける人の中には、心を満たすために通っている人がいる。
・病院に頼っている人の中には、自己肯定感の低い人が多い。
・自己肯定感の低い原因は、教育、過剰労働、経済格差、老後不安が考えられる。
・診療は安心して終えることが大事。その秘訣はラポールを築くことである。

病院に通う人の特徴

誤解のないように初めに述べておきますが、この本は受診を否定するものではありません
軽度の症状でも受診することで重度の病気でないことを判別することが病院の役割である、ということには著者は肯定的です。

通院を繰り返す人の中には検査しても問診をしても特定の診断名がつかない人がいます。
特に大きな症状がなくて通院する人は、病院で自分に向き合ってくれることで自己重要感が満たされると述べています。
このような人は診断名がつかないと心が満たされず、他の病院を探すということを繰り返す人もいます。

著者が診察をしている中で、通院を繰り返す人は病気以外に問題がある人が多いという気づきがあったそうです。

・病気になる➔周囲が優しくなる
・病気になる➔嫌な行事に参加しなく良い

上記のような関係性がある場合、病気になることで心が満たされます
この書籍では、これを疾病利得と呼んでおり、疾病利得は自己肯定感の低下が影響していると述べています。
※自己肯定感とは、あるがままで良いという気持ち。幼児期の家庭環境が重要と述べられています。

自己肯定感の低い原因

自己肯定感の低い人がなぜそのようになったのかという理由は人それぞれかと思いますが、この書籍では、

①教育の問題(他人と比較する文化)
②過剰労働
③経済格差
④老後の不安

を挙げています。ここで各論を詳しく述べませんので、知りたい方は書籍をご覧ください。

通院を続ける人に対する接し方

著者は患者さんに安心して帰ってもらうことを考えています。
そこで話を聞いてもらう前提として信頼関係を築くことが重要です。

▧ ラポール(信頼関係)を築く
クリニックは通常1日100人以上来院する為、一人一人多くの時間をさけません。
そこで著者が実践している短時間でラポールを築くための手法が5つあります。

①観察:診察前に姿勢、呼吸、表情、声のトーンを見ておく
②最初の一声を気にする:相手を見て、感情を共感し、「どうしました?」と問いかける
③ミラーリング:相手のしぐさ、呼吸を真似する
④ペーシング:相手の話し方に合わせる
⑤相槌をうつ

上記のように接しているそうです。
しかし、それでも不安が取れない人はいますので、そのような人に対しては、異常でないことを大げさに誉めたり第三者を引き合いに出して説明すると良いそうです。
例)「〇〇さんも同じような症状でしたが、1週間後には治りましたよ」など

さらに、なかなか話が止まらない患者さんがいると思いますが、その対処法が参考になりました!

相手が息を吸ったところで、「なるほど、ところで...」と話を切り替える

そうです。
話が上手な人は無意識に使っているテクニックかと思います。

おわりに

最後にも誤解のないように述べておきますが、この記事はあくまでも重病でない、特に症状がないにもかかわらず通い続ける人の特徴です。
私もこの記事のような心理状態の人と接したことがありますが、著者のように患者の心理をしっかり考えて接していなかったので、今後は考えようと思いました。
ラポール形成(信頼関係の構築)のスキルは医療従事者にとって重要だと思っているので大変参考になりました。

最後にラポール形成に関してはNLPという流派が参考になります。私がNLPで分かりやすかった本は以下のものです。

また、書籍の中で紹介されていた中島啓子さんの本もとてもおススメです。

 

参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございます。

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