私は仕事で対象者の運動前に血圧を測定するのが習慣になっています。
血圧は時間帯、環境、心理状況、身体状態など様々な条件で変わりますが、姿勢によって血圧が変
※血圧測定に関する知見は、テルモさんのサイトが分かりやすいのでこちらをご参照ください!➔テルモの血圧測定のページ
そこで本項では、文献からの知見と私の
【要約】 ●立位は仰向け、座位より血圧が高い ●うつ伏せは仰向けより血圧が下がる ●立位直後は血圧が下がるが、立位は経過と共に血圧が上昇する ●自律神経不全者は立位直後だけでなく、立位から臥位になった時も血圧が上昇するリスクがある ●血圧は性差があり、男性は血管抵抗と内臓脂肪が高血圧の因子として影響が大きい

▮姿勢による血圧の違い
ちなみに立位は体液が下降する為、血圧は臥位より下がる傾向にあります。前項で姿勢変化による血圧変化を述べましたが、今回は単純に姿勢に対する血圧の話です。
西本らによると、立位と座位の安静時の血圧はほとんど変わらないが、仰向けの安静時血圧は立位と座位より低いという結果になり、
運動時の血圧は立位が一
よって、低血圧者は座位か立位が良く、高血圧者は仰向けが良い、
※参考文献(http://www.kawasaki-m.ac.jp/so
次は姿勢変換に伴う血圧の変化について述べていきます。
▮仰向けからの姿勢変換と血圧
曽田らの仰臥位からうつ伏せ(腹臥位)と仰臥位から立位など色々な姿勢に変えた後
・最高血圧:うつ伏せは、仰臥位や立位より低い
・最低血圧:立位は、うつ伏せや仰臥位より高い
という結果になっています。
ちなみに、
・脈拍:腹臥位は、仰臥位より早い。
という結果になっています。
※参考文献:https://www.jstage.jst.go.jp/a
一方で佐竹らは、仰向けから座位、座位から立位での血圧を測定し
・仰向けから座位:血圧上昇
・座位から立位:血圧下降
という結果になったと報告しています。
※参考文献(https://air.repo.nii.ac.jp/?ac
一般的に立位直後は血圧が低下する傾向がありますが、立位姿勢の経過に関する血圧の報告があります。
板垣らの報告によると、立位時間が長くなるほど血圧は上昇する傾向がみられた、とのことです。
※参考文献(file:///C:/Users/user/Downloads/AN00062898-00000038-0001.pdf)
次に、臨床で見ることが多い立ちくらみについて述べたいと思います。
▮立ちくらみ
立位は、臥位より重力に抗して血液を全身に送らなければならない為、自律神経の交感神経が働き、血圧を一定に保とうとします。
しかし、急に姿勢変換をした場合、血圧を急に上げられず、一瞬「立ちくらみ」になってしまうことがあります。
これは医学用語で起立性低血圧とも言い、長期臥床の方がなりやすい自律神経障害の一つです。
また、自律神経不全者は、起立後の臥位時の血圧が起立前の臥位時の血圧よりも高くなることがあり、これを血圧のovershootと呼ばれ、臥位に戻した後8分程度でピークに達することが多いと言われています。
よって、自律神経不全者は立位直後の起立性低血圧だけではなく、立位後に臥位になった時も血圧が上昇する可能性があるということです。
※参考文献(https://www.jsnt.gr.jp/Archive/pdf?gid=cq3neuro/2015/003203/025/0343-0346)
▮まとめ
●立位は仰向け、座位より血圧が高い
●うつ伏せは仰向けより血圧が下がる
●立位直後は血圧が下がるが、立位は経過と共に血圧が上昇する
●自律神経不全者は立位直後だけでなく、立位から臥位になった時も血圧が上昇するリスクがある
以上で姿勢と血圧の記事は終わりです。
最後に補足ですが、血圧には性差があるとも言われています。Syme Cらは、肥満男性は肥満女性より高血圧の原因として血管抵抗の影響が大きいと述べられています。
また、Pausovaは男性の高血圧者は内臓脂肪の影響が大きく、女性の高血圧者は総脂肪量の影響が大きいと述べています。
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※参考文献
・Syme C,2019:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/31230538/?i=3&from=blood%20pressure%20posture#fft
・Pausova Z,2012:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/22291448/?i=2&from=/31230538/related
血圧は姿勢によって変わるということと、血圧には性差があるということをご参考にして頂ければ幸いです。