▮はじめに
脊柱管狭窄症や腰椎すべり症などの脊椎の変性疾患で下肢の痺れや痛み、排尿障害などの症状が起こると、手術による治療が用いられます。
今回は脊椎の術後の経過やリハビリテーションについての記事になります。
【要約】 ・術後に原因不明の疼痛として脊椎手術後痛症候群があり、30 ─ 46% に起こるとの報告がある。 ・術後は体幹筋のトレーニングがメインになる。 ・術後1週間の歩行量が多い程予後が良い。 ・術後の運動恐怖が術後 6 ヶ月の疼痛と身体機能の予測因子である。
▮脊椎固定術とは
これは、上の脊椎と下の脊椎をボルトなどを使って固定する手術法になります。
下の写真は、わたしの地域で脊椎手術で有名な村山医療センターのHPからの引用です。写真のように椎骨間を1か所固定する場合もありえば、いくつも固定する場合もあります。
改善率は病院や文献によって様々ですが50~75%くらいかと思われます。
術後に原因不明の疼痛として脊椎手術後痛症候群(FBSS)があり、30 ─ 46% に起こるとの報告があります(参考文献:PMID: 24787336)。
▮脊椎固定術のリハビリテーション
術後は上記の痛みや筋力低下が起こりますし、脊椎を固定していることで動き方も変わるため、日常生活動作を取り戻すためにもリハビリテーションが重要になります。
術後翌日からのリハビリテーション、術前のリハビリテーションを行うことで合併症が少なく済み、早期の退院が望めると言われています(参考文献:PMID: 20103575)。
次に具体的なリハビリテーションを紹介します。
①筋力トレーニング
体幹筋群の筋力強化がメインになります。
体幹伸展筋の平均筋力は術前から術後 3 か月までに 7.5% わずかに低下する傾向がみられたが、その後は大幅に増加し12か月後まで維持されていたという報告があります。また、腰椎安定性トレーニングを行うことで痛みの軽減もみられたというほうこくがあります(参考文献:PMID: 27740397)。
術後は体幹の屈曲、伸展、回旋、側屈などの運動を積極的に行えないため、腰椎正中位での上下肢の等尺性収縮運動を行っても、体幹筋群に影響を与えることができます(参考文献:PMID: 24343327)。
②運動療法
高強度の運動療法が低強度の運動療法よりも疼痛軽減に効果的ともいわれています(参考文献:PMID: 19602996)。
歩行に関しては、術後 1 週間の歩行時間が長いほど術後 6 ヶ月の身体機能の改善がみられるとの報告があることから、あるべく術後は歩くことで筋力低下を防止する必要があります(参考文献:PMID: 26619920)。
また、術後の運動恐怖が術後 6 ヶ月の疼痛と身体機能の予測因子であることを報告されています(参考文献:PMID: 21270700) 。よって、術後の運動時は心理面へ配慮も大変重要になります。
▮おわりに
脊椎固定術の術後はリハビリテーションが重要となります。
痛みや動作制限にお悩みの方は理学療法士に相談すると良いと思います。
以上、脊椎固定術後リハビリテーションの簡易的な記事となります。参考になれば幸いです。