医療情報関係

変形性膝関節症のリスク因子は何か?

変形性膝関節症とは

変形性膝関節症とは初期で立ち上がりや歩行時に痛みが膝に出現し、末期になると歩行困難になり膝の曲げ伸ばしが不十分になる疾患です。

原因は、加齢,肥満,遺伝的因子,力学的負荷など多く要因が関与していると言われており、疾患名の通り骨が変形してしまう疾患です。以下に変形性膝関節症の疫学を記載します。

【変形性膝関節症の疫学】

変形性膝関節症に関する世界規模の調査であるResearch on Osteoarthritis /osteoporosis Against Disability(ROAD)を紹介します。

・40歳以上の有病率は男性42.6%、女性62.4%
・有病率は明らかに年齢とともに高くなる
・2,530万人(男性860万人、女性1,670万人)(2005~2007)
(参考文献①)

【変形性膝関節症のリスク因子】

日本人の変形性膝関節症のリスク要因は,

①肥満
②膝の外傷
③肉体労働

と言われています(参考文献②)。
また、2,233の研究を分析した結果
①肥満
②膝外傷の既往
③手
の変形性関節症
女性
⑤高齢
が変形性膝関節症に密に関連があったという報告もあります(参考文献③)。
上記の報告から肥満膝外傷の既往は変形性膝関節症に関係していると思われます。
また、女性、高齢という因子も無視できません。
ここでは紹介しておりませんが、大腿四頭筋の筋力低下もリスク因子として挙げている論文もあります。
さらに以下に示すように上記以外の要因が関与しているという報告もあります。
①高血圧
②耐糖能異常
③軽度認知障害
(参考文献④)。
これは内部状態(内科疾患)と認知機能という面を挙げているところが面白いですね。
まとめ

変形性膝関節症は疫学的に高齢者と女性に多く、膝の外傷既往歴、肥満、筋力低下などが関連しているとされているが、高血圧、耐糖能などの内部状態や認知機能も関与しています。

変形性膝関節症の予防としてはリスク因子を頭に入れておくと良いですね。
性別や外傷は予防できませんが、肥満の解消、下肢の筋力強化などできることは行っておくと良いと思います。

【参考文献】
吉村典子,わが国における運動器疾患の疫学研究,日本農芸化学会
Noriko Yoshimura et al,Mod Rheumatol,2006 (PMID:16622720)
M Blagojevic et al,Osteoarthritis Cartilage,2010(PMID:19751691)
Noriko Yoshimura,Mod Rheumatol,2017(PMID:27538793)

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