リハビリテーション関係

CI療法についての概略

▮はじめに

CI療法という言葉をご存じでない方のために簡単にCI療法についての説明をします。
CI療法とは、constraint-induced movement therapyの略後で、非麻痺側を拘束(制約)するセラピーです。
脳卒中ガイドラインでCI療法は、グレードAというとても治療効果が高いセラピーとして位置づけられています。

<CI療法ができるまで>

1989年 Wolfらは脳卒中患者に対し、2週間起床時間に非麻痺側を拘束すると、麻痺側の改善が見られたと報告しました。
1993年 Taubは1日6時間の訓練と起床時間の90%を拘束したら改善見られたと報告しました。
その後、1990年台後半からこのような療法がCI療法と呼ばれるようになり、非麻痺側を拘束し、麻痺側を強制使用し、反復練習することで麻痺側の改善を狙うものとして行われるようになりました。

次からCI療法の流れ、適応者などを説明していきます。

CI療法のプロトコール

1日6時間の訓練と非麻痺側を起床時間の90%拘束するのが一般的な方法です。

CI療法の適応基準

麻痺側手関節中手指節間関節伸展が可能なレベルADLが自しているレベル。
また、認知症や高次脳機能障害がないもの。
ストレスにより悪化しそうな疾患(心疾患、痙攣など)を持っていないのが条件となります。

CI療法の原理

・学習性不使用の克服
・使用依存性の脳機能の再構築(可塑性)
これらが原理となっております。
※学習性不使用:麻痺側を使用しないことを学習してしまうこと

課題

課題はいくつかありますが、まずはプロトコールが非現実的という話があります。
そこで、少し負担を減らした条件(1日30〜60分、週3回と5時間の拘束)でも効果があるという報告も出てきています。
また、10日間、1日5時間の訓練のみで効果があるともいわれていますが、現行の保険制度では実施困難となります。

対象者は60歳以下が多いですが、高齢者でも効果がみられているといわれていますので、意欲的でストレスで悪化しそうな内科疾患がない場合はおこなってもよいと思われます。

私は生活期でかかわっていますが、これを在宅で行うのはかなり難しいと思うので、行うのであれば施設や病院で入所(入院)して行う方が良いと考えています。もちろん、在宅でも行えるという人は構いませんが。

最後に、個人的に思ったのが、感覚障害が重い、意欲低い人は適応基準には該当しますが、効果は出にくいかなと思っています。
CI療法は脳科学的に半球間抑制を考慮したとても理にかなった療法ですが、適応者が少ないことが難点です。
※半球間抑制の記事はこちら→★★

※参考文献
山田普己ら:脳卒中片麻痺患者に対するCI療法の現状と課題,高齢者ケアリング研究会誌No.3(2),2013

https://www.hcs.tsukuba.ac.jp/~koureicare/documents/vol3_no2_1.pdf

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