リハビリテーション関係, 医療情報関係

橋出血とは?症状、予後、リハビリについて

はじめに

脳卒中の内、約75%が脳梗塞で、脳出血は約15%と言われています(調査により差はあり)。
統計的には、脳出血の中でも橋出血はあまり多くありませんが、私の印象では若い人に多いことから後遺症で悩んでいる人が多いので端的にまとめてみました。

【要約】
・橋出血は40~50代の人に多い。
・橋が障害されると、生命活動で重要な様々な機能が障害される。
・リハビリのポイントは体幹である。

橋出血について

橋というのは小脳の前にある脳幹という部分にあります(下の赤部分)。

脳幹とは中脳、橋、延髄で構成されており、生命で必要な自律的な活動(意識しないもの)を担っています。
例えば、呼吸、循環、意識、姿勢制御などです。

●橋の役割

橋は、脳神経の三叉神経外転神経顔面神経前庭神経などが通っています。
また、呼吸調節にも関与しています。
さらに大脳と手足をつなぐ神経の通り道になっています。

●橋が障害されると起こりうる症状

・顔面の感覚が鈍くなる
・眼の動きが悪くなる(特に外側への動き)
・味覚が鈍くなる
・ふらつく
・意識障害
・呼吸異常
・手足の麻痺、運動失調

これらが全て起こる人もいれば、1つだけしか起こらない人もいます。
出血の大きさや場所、その後の回復具合によって現れる症状は異なります。

●橋出血の統計

高血圧性の脳出血のうち、橋出血は10%前後とのことです。古い論文ですが、古賀らの報告によると、橋出血は他の脳出血に比べると男性に多 く、やや低年齢層(40代、50代)に多いのが特徴です。

●橋出血の急性期の症状で予後予測

・異常呼吸
・高度意識障害
・眼球固定
・対光反射消失
・除脳硬直
・四肢麻痺

これらが、急性期にみられると予後が不良になりがちとのことです(古賀ら,1991)。

また、大岩らによると、血腫量が5ml未満は生命予後は良好で, 20ml以上は絶対不良
血腫量が5~20mlの症例は予後不良だが、血腫が中脳方向のみに進展するものは生存の可能性を有し、小脳方向に進展すると予後不良といくとのことです(大岩ら,1990)。

橋出血に対するリハビリ

ここは文献的な解釈は抜きで私見で書きます。

ポイントはずはり体幹です!

体幹は人の重量の約48%を占めると言われており、人にとって大きな部位です。
体幹の役割を箇条書きします(私見)。

・運動の原動力(四肢運動の起点)
・姿勢を保つための中心部分
・内臓機能(呼吸・循環機能、消化・吸収機能)

橋が障害されると、こられの機能が低下する可能性があります。もちろん、顔面への影響もありますが、ここでは割愛します。

リハビリでは、主に体幹の動きの促通柔軟性の維持四肢との動きの連動を行います(しつこいけど私見です)。
これらを行うことで、呼吸機能などの内臓機能向上にもつながります。
さらに四肢(手、足)を動かす際は、実は背骨から動いています。

体幹は、下の図のように背骨が起点となり、末梢の関節が動いています。つまり、体幹が動かないと四肢を動かす組織(筋肉など)へ負担が大きくなります。

姿勢制御に着目すると、橋が障害されると姿勢制御が不良になりがちです。
姿勢制御は元々無意識レベルで行われるものなので、意識的なトレーニングより外部からの感覚入力を利用するのが良いと考えています。

最後に、体幹は両側の脳から神経がつながっているので、橋出血に限らず脳卒中のリハビリでは体幹へのアプローチは重要になります

体幹へのアプローチといってもいろいろありますし、人によって強度や難易度は異なります。
基本的にプログラムは人によって異なるので、ここでは具体的には述べられませんが、もし気になる方は当サロンへご連絡をして頂ければと思います。

※サロンはこちら➔https://www.reha-me.com/
※慢性期脳卒中のリハビリnoteはこちら➔https://note.com/kajikajiwarawara/n/nee7cbcd8d9fd

<参考文献>
・古賀 信憲ら.橋出血の臨床的検討―重症例の保存的治療の限界と問題点 ―.脳卒中13巻3号.1991
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke1979/13/3/13_3_151/_pdf

・古賀 信憲ら.橋出血の臨床的検討臨床 症 状, CT所見と予後.脳卒中7 巻 1 号.1985
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke1979/7/1/7_1_50/_pdf

大岩 海陽ら.原発性橋出血の生命予後~超急性期における血腫量および血腫進展方向からの検討~.脳卒中12 巻 .1990
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke1979/12/4/12_4_357/_pdf/-char/ja

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