はじめに
寝る時に枕を使用するというのは常識になっています。
しかし、小さい子供は枕があっても枕で寝ない傾向にあるため、枕を使用していない人も多いと思います。
今回は枕が身体にとってどのような役割があるのかという部分に焦点をあてて、それを踏まえた上で子供に枕が必要かどうかを考えていきたいと思います。
【要約】 ・枕は身体を休める役割がある。 ・身体の構造を考えると枕はあった方が身体が休まる。 ・枕は寝返りがしやすいもの、筋肉が硬くならないように身体の形状に合わせたものが良い。 ・枕は硬さと高さが大事。 ・子ども枕はあった方が良いが、大人ほど気にかけなくても良い
▮睡眠時の枕の役割
枕の役割は、
①脳を休める
②身体を休める
③自律神経を休める
④細胞の新陳代謝を促進する
と言われています(勝呂徹ら,2010)。
これらは睡眠の役割と似ていますね。
ここでは睡眠の内容は割愛しますが、枕は良い睡眠を得るための道具というところですね。
次に枕が必要な理由を書きます。
▮枕が必要な理由
睡眠時は無意識に寝返りをおこないますが、枕が不適切だと寝返りがやりにくくなる可能性があります。
また、枕の高さが不適切だと筋肉が休まらない可能性があります。
枕を調整すると頸部(首)症状が緩和したという報告があります(参考文献)。これ以外にも枕により肩こりや腰痛が緩和したという報告も多くあります。
次に、なぜ枕が合わないとそのような症状が出てしまうのかを説明します。
身体には背骨がありますが、これはS字カーブをしています。
背骨は首が前、胸が後ろ、腰が前に反る、という構造になっているのが一般的です。
この構造は生まれたての子供にはありません。
歩きが行えるようになると、このS字カーブが形成されてきます。
背骨の状態が良好で他の関節にも特に問題がなければ、枕がなくても苦痛なく下のように横になれます。
ヒトの身体は床から浮いている場所は筋肉が硬くなるという現象が起こります。
つまり、下の写真のような場合、床に囲まれた赤い部分の筋肉が働きます(参考図書:「Step to follow」)。
これを考慮すると、仰向けは下の写真のように首の後ろ、腰、膝裏の筋肉が硬くなりやすいということになります。
筋肉は長い時間硬い状態が続くと痛みが出る可能性があります。
よって寝返りは身体にとって必要な動作と言えます。
このことから寝返りを頻回にするような人は枕はそれほど必要ではないですが、寝返りをそれ程しないのであれば、枕はあった方が良いと言えます。しかし、これは実際には数えることができません。
※一般的に睡眠時の寝返りは20分に1回と言われています。
▮枕の身体への効果
前項で枕があった方が身体の筋肉が休まるという話をしました。
普段の姿勢で腰の反りが強い人が仰向けになると、下の写真のように顎が挙がり、腰がさらに反るようになります。
このような方には枕があった方がよいと言えます。
枕を入れると下の写真のように頭と腰が丸まるようになるので、腰への負担が少なくなります。
しかし、枕の高さは高すぎると顎が挙がり、呼吸がしにくくなります。
また、首の後ろの筋肉が伸ばされてしまい肩こりのような症状が出る可能性があります。
よって、適切な高さが必要になります。
子供に枕が必要かどうかの私の答えは、
●背骨のS字カーブが形成された後は使用した方が良い(ただし、高さを適切に!)
※まだ歩けない乳幼児は枕は不要だと思います。
●寝返りがやりにくくなるような枕はやめた方が良い(柔らかすぎるのは良くない!)
と言えます。
▮どのような枕が良いか?
次にどのような枕が良いかという話ですが、これは前項で話したように床との隙間を埋めるように使用するのが良いということと、その人の身体の形状に合った物が良いと言えます。
睡眠中は仰向けや横向きになるため、どちらにも合うような高さが良いです。
横向きの場合は下の写真のように頭と背骨がまっすぐになるような高さが良いです。
硬さは柔らかすぎないのが良いと思います。
頭をゴロゴロ動かして動きにくさがないか確認すると良いと思います。
個人的な意見ですが、子供は寝返りを頻回にするので、安価でも良いので高さと柔らかさだけ気をつければよいと思います。
もし、腰痛や肩こりで悩んでいる人には、下の写真のように頭~背中まで傾斜している枕は寝やすいと思います。
▮おわりに
睡眠は人生の1/3~1/4を占めるものですので、寝具は大事ですね。
今回は枕についての話をしましたが、マットレスも重要です。
マットレスも枕と考え方は同じで寝返りがしやすい程度の硬さが良いと思います。
子供の枕は必要だと思いますが、身体の硬化が進んでいないため、大人ほど気をかけなくても良いと思います。
参考になれば幸いです。
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