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[解説]半球間抑制とは?~脳卒中を見る際のポイント~

▮ はじめに
脳卒中になるとは反対側の腕や足が麻痺する現象が多々起こります。いわゆる片麻痺という現象です。
これは脳からの神経が、右脳は左側、左脳は右側にいくものが多いため起こる現象です。
片麻痺になると、麻痺がない側(厳密には麻痺が少ない側)を使う習慣が身につき、ますます麻痺側を使う機会が少なくなる人が多いです。
この時、脳ではどのような現象が起こっているかをこの記事では説明したいと思います。
脳卒中の方や、脳卒中のリハビリ関係者の一助になれれば幸いです。

 半球間抑制とは

これは、1962年に日本の生理学者らが世界に先駆けて発見したものだそうです!
しかし、詳しいメカニズムは不明のまま時が経ち、2012年に理化学研究所が神経回路のメカニズムの報告をしました(参考リンク)。
※この記事では神経回路メカニズムの説明は割愛しますので、興味のある方はリンクをクリックして下さい。
半球間抑制を簡単に説明すると、
右の脳➡︎左の脳を抑制
左の脳➡︎右の脳を抑制
という関係のことです!
例えば、
右の脳が障害される➡︎左の脳をたくさん使う➡︎右の脳な抑制が強まる
という流れがあります。
脳卒中などで一側の脳が障害を受け
非麻痺側をたくさん使うと、麻痺側は益々抑制される為使えなくなるという事です。

▮ 半球間抑制と筋疲労

Takahashiらの報告によると(参考文献)、非麻痺側の手を疲労させると健側の脳の興奮性が低下するようです。つまり、非麻痺側を筋疲労させることで、結果的に麻痺側への抑制を抑えると述べています。

▮ 半球間抑制の臨床応用の実際

この抑制機構は脳卒中片麻痺の人に限らず、万人に当てはまりまる為、リハビリ(機能訓練)でとても使えます!
脳卒中片麻痺の人に対しては、麻痺側をいかに使用するかが機能回復で大切になります。
それと同時に非麻痺側を優位にさせないかも大切になります。
一側を使用すると他側は抑制されるという考えは、脳卒中に限らず全ての機能訓練の際に持っていると応用が利くと思いますが、実際には言葉で言うほど簡単ではありません
使いにくい側をたくさん使う為には、本人の意欲、仕事内容、生活環境、他者(家族など)の理解などがなければ難しい問題となります。
※慢性期の脳卒中リハビリに関するnote➔こちら
※執筆者のサロンはこちら➔https://www.reha-me.com

【参考書】
・Takahashiら.Unilateral grip fatigue reduces short interval intracortical inhibition in ipsilateral primary motor cortex.2003
・脳・神経科学入門

・認知神経科学入門
・筋力発揮の脳・神経科学

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